第十四話 新宮殿の主
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掛かってくれば、圧倒的な数、人海戦術に、数で劣るトリステインは、やがて疲れ果て押し込まれるだろう。
『アルビオン王国と同盟を組んで三竦みの状況に持っていく』
と、いう案もあった、アルビオンにとっても自国が侵攻を受ける可能性が高い、お互いの利害が一致して二大大国に対する、防衛処置と考えれば。
(一番、現実的か……)
と、悪くない感触だった。
だが、距離的に考えてトリステインはアルビオンの防波堤と化してしまい、戦争になればトリステインが主戦場となり国土が荒廃する、そういう可能性を考えれば、この案はトリステイン側にとって面白くなかった。
そして、2人の王のどちらが主導権を握るかを巡って主導権争いが起きないとも限らない。
絶望的な状況で人間の理性に期待する……なんて、博打は打ちたくなかった。
結局、マクシミリアンは大隆起が起きてしまったら、トリステインにとっては『滅亡』の二文字しか考え付かなかった。
☆ ☆ ☆
深夜、4階マクシミリアンの部屋。
マクシミリアンはバルコニーに出て、ワインの飲みながら、二つの月を眺めていた。
部屋の中では天蓋付きの巨大なベッドの上ではアンリエッタが寝息を立てていた。
実の所、マクシミリアンは大隆起の際に、トリステインがとるべき方策について一つの案が有った。
それは、マクシミリアンの前世が地球人だった事から、思い浮かんだ案だった。
(地球のヨーロッパに良く似たハルケギニア、ならばトリステインから西へ突き進めば、北米大陸に相当する陸地が有るかも知れない)
と、いう簡単な思い付きだった。
そして、大隆起の前にトリステイン国民全員を新大陸に移住させる。そういう案を考えたが、考えれば考えるほど穴だらけの案だった。
最初に、そういう陸地が有るかどうかも不明だったし、道中、巨大海獣が襲ってくるかもしれない、陸地が有ったとしても先住民との交渉が上手く行くかどうかも分からない、土地を手に入れても全国民を移住させる大量のフネも必要だ、そして何より他の国が黙って移住先へ行かせるかどうか。
逃げ場があるのなら……と、われ先にトリステインに侵攻し、何もかもが滅茶苦茶なってしまうかもしれない。
(……だからと言って、始める前から諦めるのは、愚か者のする事だ)
このまま、ハルケギニアに留まっていては滅亡を待つだけ、ワルド夫人に期待したいが、逃げ場所を確保していないと博打が打てない、慎重……と、言うより小心者のマクシミリアンは新大陸捜索に乗り気だった。
これから、気が滅入るような。綱渡り的な行動を余
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