第173話 総攻め
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を喜ぶ男達が礼を述べる声が聞こえた。
「正宗様、よろしかったのですか?」
しばらくして泉が正宗に声をかけてきた。
「構わん。あのような奴らは参加を許さなくても、隙を見て城に潜り込み略奪を行うはずだ。私の目が届いたほうが面倒がない。安心しろ。奴らには釘を刺しておく。私の指揮下で好き勝手はさせん」
正宗は意味深な笑みを浮かべ泉に答えた。
「正宗様、今回は」
宗寿は正宗に話しかけると言いづらそうに口ごもった。
「宗寿、襄陽城に居る者達は根切りにする。一人として生かして逃がす訳にはいかない」
正宗は重苦しそうな声で宗寿に言った。
「お前はまだ戦場の経験が浅い。気分が乗らぬなら参加せずともよい」
「いいえ。参加させてください」
宗寿はかぶりを振ると気丈な表情で正宗に言った。
「そうか。宗寿、お前の心構えは理解した。良く見ておくのだ」
正宗は宗寿のことを真剣な表情で見た。宗寿は正宗に「はい」と答え頷いた。
招集の場所には既に兵士達が集まっていた。遠眼に朱地に孫の文字が書かれた牙門旗が翻っていた。孫策が率いる孫堅軍である。孫堅軍は昨夜の奇襲で兵の損耗が激しかったが孫策が四千を率いることになった。
招集場所の中央には正宗軍が布陣していた。今回の突入のために八万の軍勢の中から二万を選抜した精鋭部隊を編成した。残りの六万は襄陽城包囲の任についている。
正宗は自軍の勇壮さを満足そうに眺めていると急に冷めた表情に変わった。彼の視線の先には不揃いの装備をした集団がいた。集団は彼らだけで無く、正宗軍と孫堅軍の周囲に疎らに小規模の集団が点在していた。彼らは先ほど正宗に総攻めに参加することを嘆願していた義勇軍だろう。義勇軍の集団は正宗の元を訪れた人間の頭数より多かった。参加の許可を取り付けた義勇軍の話を聞きつけて集まったのだろう。義勇軍の集団の総勢は少なく見積もっても五千ほどいる。
「屍肉に群がる蠅どもが」
正宗は義勇軍は義憤に駆られ参加しているとは思っていないようだ。既に趨勢は決まった段階での彼らの行動は正宗の読み通りだろう。彼は義勇軍の集団を一瞥すると正宗軍によって設営された壇上に向かった。泉と宗寿は正宗についていく。
正宗は威風堂々と壇上の階段をゆっくりとした足取りで上がった。壇上には主立った正宗軍の将達がいた。彼女達は正宗を確認すると彼に対して拱手し頭を下げた。
壇上に上がると星、?菜、朱里、桂花、愛紗、孫権がいた。泉と宗寿はそれぞれ指定の場所に移動した。
正宗は家臣達の姿を確認すると壇上の中央に進んだ。彼は目の前にいる大勢の兵士達を見下ろすと息を大きく吸い込む。
「諸兵諸君、大義である! よくぞ集まってくれた。朝敵・蔡徳珪との戦いも
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