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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第十八話「運命という名の悲劇と別離」
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匂いを嗅ぎ分けながらリンクスは遺跡の中を駆け回る。
そんな彼女の頭の中には今までの思い出が巡っている。
『”ホイミ”』
『ガゥ?』
『もうちょっとの辛抱だよ。すぐに助けに来て上げるからね』
『グゥ…、クゥ〜〜ン』
体を包む暖かな癒しの光。
目を覚ました先の優しそうな笑顔。
「キューン、キャン、キャンッ!」
『あはははは!こら、くすぐったいよ』
『ガゥ〜〜、クゥ〜〜ン♪』
レヌール城でのオバケ退治を終えて、約束通りに迎えに来たリュカ。
「キャンキャンキャン!」
『ガゥ〜〜、ク〜ン』
『ん、どうしたのリンクス。寒いの?』
『キュ〜〜ン』
『あはは、甘えん坊だねリンクスは』
『キュゥ〜〜ン♪』
春が訪れない寒い日に優しく抱きしめてくれたリュカ。
「ガウガウ、キャーンッ!」
『ねえ、ベラ』
『…何?』
『僕、いい事をしたのかな?』
敵であった雪の女王の為にも涙を流す優しいリュカ。
「キャン、クウ〜ン、…リ…リュカ…」
リュカに隠れてしていた言葉の練習。
ようやく名前だけ呼べるようになっていた。
サンタローズに帰ったら驚かせようと内緒にしていた。
「リュカ!リュカ!リュカァーーー!」
リュカの名を呼びながら同じ所を駆け回るが、辿り着くのはやはり此処。
パパスが最後を向かえ、バシルーラによってリュカとヘンリーが連れ去られたこの場所。
「リュカ、リュカ、リュ…キャンッ!」
石畳の地面を駆け回った事でリンクスの足はすでにボロボロになっていた。
駆けていた勢いのまま、リンクスは倒れる。
もはや起き上がる力も無く、倒れたままの彼女の目線の先には唯一つ残されたパパスの剣が鈍く光っていた。
思い浮かぶのは優しげなリュカの笑顔。
その胸の中で感じる暖かな温もり。
共に笑いあったピエールとスラリン。
そして優しく名前を呼んでくれるあの声。
『君の名前はリンクスだよ』
『サンチョの作ってくれたご飯は美味しいだろ』
『今日は寒いから一緒に寝ようね』
『はははは、こっちだよリンクスーー。早くおいでよーー!』
「リュカ…リュカ……、イヤ…ダ。リュカ、リュ…カ」
その瞳から涙が零れる。
何度呼ぼうとも返事は返って来ない。
そしてようやく理解する、リュカは何処にも居ないと。
彼が自分を置いて何処かに行く筈はない、ならばあの敵に攫われてしまったのだと。
「リュカ、リュカ、リュカ……リュカァーーーーーーーーッ!」
泣き叫ぶその呼び声はただ虚しく暗闇の中の遺跡に木霊する。
そしてこの日から、10年にも及ぶ暗い暗黒の日々が始まろうとしていた。
運命と呼ぶには余
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