【壊れかけの】ゼロの使い魔【衛宮士郎を召喚】
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あ……その……」
相手の反応は鈍い。
そして。
「ゴメン……。帰す魔法は、少なくとも私は知らないし、聞いたこともないの」
――――――――――――
少年の目が、あまりにも真剣過ぎて。
あまりにも凄惨に見えて。
物語の英雄のような、或いは魔王のような。
異世界なんて信じられないという思いは、何処かに行ってしまった。
こんなに想ってもらえる誰かは、きっと幸せ者に違いない。
だから、さっきまでは全く考えていなかったけど、この少年を元の場所に返そうと思った。
帰さなきゃって思った。
「その……ゴメン。でもサモン・サーヴァントで人が呼ばれるなんてこと無かったの。だから」
言い訳だ。
でも本当のこと。
「……そっか。なら仕方ない。じゃあ探すの、手伝ってくれないか」
言葉からは落胆が。
けれど目には変わらぬ意志の強さが。
彼が何を考えたかは分かる。
怒るより嘆くより、一刻も早い帰還だけを。
「頼む。俺には、もう時間が無いんだ」
「病気……なの?」
それなら薬を渡そう。
水のメイジを呼ぼう。
「病気……とは違うかな。それに、もう手遅れなんだ。体じゃ無くて、精神が」
「だ、大丈夫! 精神に効く薬だってあるわ! だから……」
だから、なんだ。
何が言いたいのか自分でも分からない。
彼は微笑みながら教えてくれた。
「ありがとう、ルイズ。えーとな、この腕がその原因ではあるんだ。けど俺は、この腕を莫くす事は出来ない。あいつを救うためには、きっとこの腕がどうしても必要だから」
ジレンマだな。
と彼は笑った。
あれから数日。
探す魔法は見つからず、そして彼には限界が訪れそうだった。
最初に多少の記憶の欠損が出て来た。
いや、その言い方はちょっと違う。
既に会った時には始まっていた。
昼食を食べた後、しばらくすると昼食はもう食べたか、と聞いてきたりするのだ。
説明すると、「そういえばお腹減ってないな」なんて笑っていた。
次第に意識がしっかりしている時間が減っていき、目を開けたままぼーっとしていることが多くなった。
今では覚醒している時の方が少ない。
そして頑なに睡眠は取らなかった。
戻ってこれなくなるって言っていた。
一応色々な薬を試してみたが、効果の程は分からない。
そうして、最後の日が訪れた。
調子がいいと言う彼と共に、気分転換に外を歩いていた夜。
そう、『破壊の杖』を盗みにきた『土くれ』のゴーレムと対峙した、あの日。
衛宮士郎が、死んだ日。
――――――――――――
少年は
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