第6章 流されて異界
第136話 大元帥明王呪
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に言うと、逃げ出したい気分。おそらく、彼女が言いたいのは俺が意識をして無視した部分。その無視した部分に気付いていながら、オマエは何を表の世界の常識と言う枷を嵌めた台詞を口にしているのだ、と言いたいだけ。
いや、この台詞を口にしたトコロで、俺がヤツの封印を止める訳がない事に気付いたと言う事なのでしょう。
何故ならば、普通に考えるとさつきが正気に戻れば大元帥明王呪に因る結界や、聖痕を模した封じを解除するはず。その方が、彼女が自由に行動出来るので、さつきを逃がすにしろ、共に戦うにしろ、彼女の護衛に割く戦力が必要なく成ります。
しかし、現実には封じられたまま。これは、彼女が仮に正気に戻ったとしても潜在的な敵戦力として行動する可能性が残っている……と俺が判断している事の現れですから。
そう、未ださつきに関しては潜在的な敵戦力だ、と俺は判断しています。
何故ならば、現状ではあの犬神使いと彼女の人間関係が完全に分かっていない状態。精神が操られたから俺たちと敵対したのか、それとも、それ以前の段階で自発的にヤツの手伝いを行ったのかが分からない以上、眠っている間にすべてを終わらせた方が良かったのですが……。
威圧感十分の視線を正面から受け止め、更に、それ以上に真剣な表情で見つめ返す俺。
二人の丁度中心辺りでぶつかる視線。術者同士の視線には霊力が籠る可能性が高い以上、今、二人の間に不幸にも入って終った存在が居たとしたら、ソイツは次の瞬間には間違いなく気死して仕舞うでしょう。
しかし……。
「相馬さん、あそこに居る相手は人間ではありませんよ」
高まる緊張。その二人の間に割って入る弓月さん。それも周囲に危険な雰囲気を撒き散らし始めた俺とさつきの間に、まるで身を立てるように。
もっとも、このタイミングを俺も待っていたのが真実。有希やタバサには出来ない調整役を任せられるのは助かりますから。
一瞬、緩み掛ける表情。しかし、直ぐに気を引き締め、現実に表情を崩す事はなし。それに未だ彼女を煽る必要はあると思う。
「あそこに居るのが、さつきはオマエの弟……相馬太郎良門の転生体だ、と言うのやな?」
敢えて後ろを振り返る事もなく、後ろに向けて親指で指し示すだけで確認を行う俺。
そう、普通に考えると小学校高学年の姉に、四年前には既に大学生だった弟が居るとは思えない。この辺りの謎を解明するのに一番簡単な答えはコレ。
確かに、俺にも前世の記憶らしき物が複数蘇えりつつあるのですが……。
但し……。
「良門や滝夜叉姫と言えば千年も前の人間。そんな過去の人間関係に振り回される愚も、ちゃんと理解出来ているのか?」
自分の経験や、実際に心が感じているモ
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