第35話
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されたはずだ。
勝利の女神はこの時、孫策達に微笑んでいた。
「さっすが祭! 愛してる!!」
巨石と、その近くで倒れている敵兵を確認した孫策は、自分達が窮地に立たされていたことを理解すると共に、黄蓋によりそれを脱した事で歓喜の声を上げた。
「これ策殿、油断めされるな!」
「一時退却よ! 落馬した者に手を貸しなさい、殿は私が務めるわ!!」
「敵軍が退いて行きます!」
「敵軍は落馬した者による離脱者が多く、未だ隊列が整っていません!」
「張遼様、追撃を!」
「張遼様!!」
「―――ッ」
選択を迫られた張遼は、賈駆の言葉を思い出していた。
『ボクの策は十中八九決まるわ、でも――もしも失敗したら。
そこから先は霞の采配に任せるわ』
『それでいいのかって? 何を言うかと思えば』
『ボクは霞の力量を信じてる。何が起きても張文遠なら最善の行動が取れるってね!』
「張遼様!!」
「うち等も退却、本陣を移動させ策を練り直す」
「なッ、これではみすみす――「あかん」!?」
「こっちの策を寸前で看破できる軍や、無策で退却するはずない!
とっくに何らかの対策を立てられていると見るべきや!!」
張遼の言葉通り、既に孫策軍は迎撃の準備を終えていた。
軍列中央に居た周瑜は囲地の仔細を聞いた後、今まで通ってきた道の崖に兵を配備。
甘寧、周泰の両名を機能しなかった巨石に移動させていた。
仮に張遼が騎馬を率いて追撃に動いた場合。入り口を封鎖され張遼は敵地に孤立していただろう。
「堪忍な――華雄」
両軍が慌しく動く中、張遼は水関の方角に呟いた。
本来であれば今日の内に孫策軍を撃退し、水関に合流するはずったのだ。
策が成らなかった事で仕切り直しになる。大胆にも撃退に動いた此方に対し、敵は慎重になるだろう。
焦って多大な被害を出せば援軍として機能しなくなる。迂回路の攻防はもう少し長引きそうだ。
「どうやら追って来ないようじゃの」
「正直、助かります」
迎撃の準備を終え、敵軍を待ち構えていた周瑜は溜息をつく。
即興で用意したにしては効果的な迎撃の策、うまく機能すれば張遼を討てたかもしれない。
それを踏まえて尚、追撃が無かったことに安堵した。
急停止による落馬は予想以上に被害が大きい。特に先頭を走っていた精鋭、孫呉の主攻を担う者達の離脱が痛い。
彼ら無くして張遼は止められない。追撃していれば彼女の刃は孫策まで届いただろう。
無論、自分達の長の武を疑ってなどいない。しかし、退路を無くし背水の陣とかした張遼軍は
最悪、
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