第35話
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
知った場所を、連合が知るはずないやん。たとえ見つけたとしても、あんな悪条件だらけの所を誰が使うねん」
「甘いわ霞。ボク達は文字通り後が無いの、石橋を叩いて渡る位じゃないと駄目よ」
「つまりウチに、虎牢関では無く迂回路の指揮を取れってことか」
「迂回路を使う軍がいるとしたら、どのような軍だと思う?」
「そら功名心に駆られた猪突猛進の馬鹿か、自軍に自信のある少数精鋭やろな」
「恐らく後者ね。ボクの見立てでは孫策軍が来るはずよ」
連合の情報に力を入れた賈駆は、軍の構成、有力な将、これまでの実績など等、全てを網羅していた。
その中で目をつけたのは孫策軍。黄巾との戦いにおいて他諸侯を出し抜いて門を開き、張角の頸を挙げて見せた。
この実績からかの軍は諜報力に優れ、その能力を十全に発揮できる軍師がいることがわかる。
「貴女にはあえて敵軍の近く、この位置で陣を張って貰いたいの。
孫策軍は優秀な斥候と軍師を保有しているわ、配置させる伏兵と罠の位置は看破される。
彼女達は一気に突破すべく避けるはずよ、そこで――貴女には敵軍の動きに応じて伏兵を動かして欲しいの」
「情報伝達の為に敵軍の近くに本陣を置いて……か」
「流石ね、理解が早くて助かるわ」
地形図上の迂回路に駒を持って行こうとした賈駆。その腕を張遼が掴んで止めた。
「まだや賈駆っち……まだ半分や」
「半分?」
「迂回路を突破されることが最悪の事態の『一つ』である事はわかった。
少数精鋭で知られる孫策軍がそこを狙う危険性もな。でもな賈駆っち、ウチが迂回路で敵を迎撃するとして正面はどないすんねん! いくら華雄が強いといっても限度があるで!!」
「あら、いつボクが迂回路の敵を迎撃するといったのかしら?」
「……へ?」
「ボクの策はこうよ、迂回路に陣を張り敵が来たらそれを速やかに『撃退』
水関にいる華雄に合流し二軍で防衛する。
霞――貴女には迂回路で攻勢に出てもらうわ」
「攻勢……って」
張遼は地形図上――迂回路に配置された駒に目を向け、賈駆の策と言葉の両方を頭の中で反復させた。
伏兵を察知する敵軍に対して、臨機応変に伏兵を動かし奇襲する。
見事な『迎撃』の策だ。この策をもってすれば敵軍の動きは封じられ、迂回路の突破は困難を極めるだろう。
「フフフ、わけがわからないって顔ね。今から説明するわ――」
そこから聞かされたのは紛れも無い『攻勢』の策。先程聞いた『迎撃』の策が見事に昇華したもの。
「詠っちアンタ……伏兵、罠、そして本陣でさえも囮にするんか!?」
艶かしく笑みを浮かべる軍師の姿に、張遼は戦慄すると共に安堵する。
彼女が味方で良かった――と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ