第35話
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「報告! 孫策軍がこの本陣に向かって進軍を開始しました!!」
「馬鹿な!? この場所がばれたというのか!」
「もしや偵察兵が捕まって……」
「彼等は選りすぐりの精鋭達だ。たとえ捕まったとしても吐かぬ」
「では我等の策を見破ったと……まだ二日目だぞ?」
「ええぃ、そんなことより迎撃の準備だ!」
「流石やな――
本陣で伏兵を操作していた張遼達は、やってきた報告と共に慌しく動き出した。
そんな中、地形図を見ていた張遼が静かに賛辞を口にする。しかしそれは――
――うちらの軍師様は」
敵に対する言葉では無かった。
時を遡り連合が集結していなかった頃、張遼は軍師である賈駆と口論になっていた。
「なんでや賈駆っち……なんでうちが虎牢関やねん!!」
「ボクの決定になにか異論でもあるの?」
「当たり前や!」
普段は飄々としている張遼も、このときばかりは語尾を荒げた。
無理も無い。この戦の勝敗は主、部下、そして戦友の命が掛かっている。
「水関と虎牢関を抜かれ洛陽が落ちればうちらの負けや。双方に軍を置くこと自体は理解できる。でもそれは通常の戦である場合や!」
戦では大小の差こそあれ、戦力が同等の軍同士での戦いは少ない。
しかしそれを踏まえて尚、連合と董卓軍の戦力差は常軌を逸していた。
それこそ、無条件降伏を視野に入れるほどに――
「虎牢関でうちが連合を迎撃するっちゅうことは、水関が落ちたことを意味する。
すなわち、華雄とその軍が敗れたっちゅうことや! 唯でさえ戦力差のあるうちらが華雄達を失って戦えるわけない。水関を突破して士気が最高潮の連合に蹂躙されるのがオチやろ!!」
「……」
「うちが守るべき場所はな……」
そう言うと張遼は、地形図上にあった自軍を模した駒を手に取り――
「ここや!!」
叩きつけるように水関、華雄軍の横に置いた。
「一軍でも欠けたら敗北が決定する。なら最初から全軍で水関の防衛にあたるべきや!
賈駆っち……あんた程の軍師がこの答えに辿り着けなかったとは言わせへんで!!」
「霞の言いたいことはわかる。ボクも同意見よ」
「――だったら!」
さらに捲くし立てようとする張遼を手で制する。
「理由を説明する前に確認なんだけど、ボク達にとって最悪の事態はなんだと思う?」
「そんなの……関を抜かれて洛陽に攻め込まれることやんか」
「そう、洛陽が攻め込まれることよ。そしてそこに通じる道は一つじゃないわ」
「迂回路の事を言うとるんか? 洛陽に来たうちらが最近
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