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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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だが違う。

それは、黒だった。

穴の奥にわだかまる闇ではなく、夜空のような黒だった。

装甲の割れ目から出た黒い霧は、スローの世界とは独立しているかのように迅速にその形を整えていく。

骨に、肉に、皮に、掌に、指に、爪に。

それらは好き勝手にディティールを整え、くっついていく。

構成されたのは二つの腕。

決して逞しくも見えない、いっそ華奢にすら見える二振りは、回っていく首に組み付いた。

それは、小さな抵抗だったかもしれない。

意味などなかったのかもしれない。

だが、停滞している世界の中で、その抵抗は確かな意味があった。

気のせいと言われても仕方がないような、誤差の範囲内のような規模で、単眼の旋回運動が鈍った。

そして、それが致命的だった。

ギリギリ。

巨大な単眼レンズの端の端。外縁部を掠めて、シノンの放った弾頭はマークUの頭部の中に飛び込んだ。

一瞬の静寂。

信じられないような光景に眼を見張る少年の前で――――



景色が、はじけ飛んだ。



真っ白に染まる視界の中、レンは小さな女の子を背負ったまま遠ざかっていく男の子の姿を見る。

その背に何かを言ったような気もするが、それが何なのか判然としないまま意識は消し飛ばされた。
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