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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#29 国境を越えて
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ティアは、ただただ黙っていた。
そこに、ジェイドが前に出て注意をした。
「ここで騒ぎを起こされては困ります」
周囲にいる門番たちが、不審者を見る様に警戒しているのが判る。
そう、この場所は国境であり、両軍の駐留地でもあるのだ。ここで争い事をしてしまえば、下手をすれば両国に睨まれてしまう可能性だって捨てきれない。
だからこそ、ティアは武器を静かに下ろした。
そして、一先ず ヴァンの『話をしたい』と言う提案もあり、宿屋の部屋を借りそこで話をする事になったのだった。
〜カイツール 宿屋〜
イオンが、これまでの事を。これまでの行動の理由をゆっくりと告げる。
「モースが戦争を望んでいる以上…僕はそれを見逃す事が出来なくて……」
ダアトから離れた理由、それをヴァンが訊いて、納得したように、頷いた。
「なるほど……、それでイオン様はダアトの教会から姿を消されたのか」
「すみません、ヴァン…… 僕の独断で迷惑をかけてしまって…」
イオンは、続けて謝罪をした。
最高指導者。導師であるイオンが突然姿を消してしまえば、当然ながら無用な混乱を招くし、騒ぎも大きくなるだろう。その鎮静に当たっていたとすれば、労力は果てしなく大きいと感じるからだ。
だが、イオンの理由を考えたら それも仕方がないと思える。戦争が起こってしまえば、これまでの平和が一気に崩れ去ってしまうのだから。
「いえ、私のことは構わぬのですが、六神将が動いているとなると…」
ヴァンが、そう言ったその時だった。黙って訊いていたティアが立ち上がって反論をした。
「兄さんが! 彼らを差し向けたんじゃないの!? どうして平和を望むイオン様の邪魔をするの!!」
ティアが、ヴァンに反論をすると、ヴァンを信頼しきっているルークが黙っていない。
「おい!
師匠
(
せんせい
)
に向かってお前!」
ルークにとって、ヴァンは絶対である、と判る程、ヴァンを信頼している様だ。それは、ルークの言動やヴァンに向けている目を見たらよく判ると言うものだった。
ヴァンはと言うと、対照的に冷静だった。冷静に、まずルークを宥めた。
「良いのだルーク。……そう思われても仕方ない。六神将は私の部下だからな。だが、彼らは大詠師派でもあるのだ。……恐らく大詠師モースの命令で動いているのだろう」
ヴァンの説明には、やはりティアはまだ納得がいかない。
ティアの顔が更に強ばりを見せている。
「そんなはずはないわ! モース様は本当に平和を望んでいる。だからこそ 私に捜索を… ッ!!」
ティアは、最後まで言い切る事なく、思わず黙り込んだ。
恐らく機密事項も勢いのままに
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