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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#29 国境を越えて
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越えて…… 凄い事だと思うよ。正直さ」
アルもイオンに続いた。これまで辿ってきた道筋。
決して狙った訳ではないが これまでの事を考えたら非常に楽だった。それは、皆と一緒だったから、楽を感じる事が出来たのであり、これが1人だったら。アニスの様に 1人だけだったら、と考えたらそう思ってしまうのである。
「そんなに褒めても何もでないよ〜アル! 私はルーク様のものだもーん? それに イオン様もご無事でよかったですぅ!」
元気いっぱいのアニスを見て、安心すると同時に、アルとイオンは互いに苦笑いをしていたのだった。
「ところで… どうやって検問所を越えますか? ……私もルークも旅券がありません」
ティアが心配そうに言っていた。
そう、2人は不法入国をしたも同然だったから、旅券を持っている筈もないのだ。そんな時、ガイが一歩前に出た。
「心配要らないみたいだ。ほら、お迎えが着たみたいだぜ?」
ガイが、検問所の方を向きながらそう言うと、全員が検問所の方に注目した。
その先、ガイの視線の先には誰かがいた。こちらへと歩いてきている。
遠目で見た感じでは男の人だろう、とアルは判ったが、生憎と誰であるかまでは 当然ながら判らない。でも、それも問題なかった。何故なら ルークが飛び出していったからだ。
「ヴァン
師匠
(
せんせい
)
!!」
擦り寄ってきているアニスを押しのけて、ルークは駆け出した。やや蔑ろにされてしまったアニスは、流石に可哀想かな? と思ったけれど、これまでのヤリスギ感を考えたら、別に問題ないだろう。
だけど、穏やかな空気は一気に一変してしまう。
何故なら、ルークよりも先に、彼の前にはティアが向かったのだから。
武器を構えて。
「ヴァン!!」
怒気を含む、その声は 明らかに敵意をむきだしにしていた。
「ええっ!?」
突然の事だったのでアルも当然ながら驚いていた。だが、それと同時に ティアの目的の人物だと言う事がはっきりとしていた。
ヴァンは、まるで動じる様子もなく、ゆっくりと歩いてティアの前まで行った。
「ティア。………武器を収めなさい、お前は誤解をしているのだ」
そう静かに言った。
「誤解……?」
その言葉をティアは、簡単には信じられないのだろう。決して警戒を解く事はなく、武器をヴァンにつきつけたままだった。
「……ティアさん」
比較的傍にいたアルが、ティアの武器をそっと触った。下ろさせようと、促す様に。
「オレ、前にも言ったと思うけど…… やっぱり兄妹で争うなんて間違ってると思う……よ。……話を訊いてみて?」
「…………」
アルの言葉に 肯定も否定もしない。
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