第三章
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「そうしてもらうわ」
「じゃあフェスタでワルトラウテがどんな服を着て来るか」
「ジークフリートがどの服を選ぶのか」
「楽しみにしてるわね」
「見せてもらうわね」
友人達はワルトラウテに笑顔で応えた、そしてだった。
そのフェスタの服を選ぶデートの時にだ、ワルトラウテは。
ジークフリートを連れて街で最も大きな服屋に入った。そこには普通の服以外にもドレスや様々な晴れ着があった。
その晴れ着達を見回しつつだ、ワルトラウテはジークフリートに言った。
「色々な服があるけれど」
「ワルトラウテに似合うのはどの服か」
「選んでね」
「そうさせてもらうね」
「くれぐれもだけれど」
ここで注意したワルトラウテだった。
「迷わないでね」
「あれがいいかこれがいいか」
「授業で習った」
こうも言ったワルトラウテだった。
「キルケゴールみたいなことはしないでね」
「あれかこれかだね」
「そう、実際どんな本か知らないけれど」
キルゲゴールのその代表作はというのだ。
「けれどね」
「それでもだね」
「迷わないでね」
その本のタイトルの様にというのだ。
「いいわね」
「わかったよ、努力するよ」
「そうしてね」
心配しつつもだ、ワルトラウテはジークフリートに念を押した。
そのうえで晴れ着の場所に行った、そこでだった。
ワルトラウテはめぼしい服を何着か選んでみた、それをそれぞれ手に取ってそのうえでジークフリートに見せて尋ねた。
「どれがいいかしら」
「そうだね」
ここでだ、ジークフリートは。
ワルトラウテに言われた迷わないでという言葉を頭の中に思い浮かべた、そして。
その晴れ着達を見回してだ、こう言ったのだった。
「どれもドレスだね」
「ええ、そうね」
「ドレスはどれもね」
それこそと言うのだった。
「よくないよ」
「よくないっていうのね」
「どれもお部屋の中で着る方がいいから」
「それじゃあ」
「フェスタは外で着るから」
そうした服はというのだ、ドレスの様な。
「外に着る様な服」
「そうした服がいいのね」
「それならね」
ジークフリートの方から言った。
「いい服見付けてるから」
「えっ、決めてるの」
「だから、ワルトラウテが言ったじゃない」
「迷わないでって」
「そう言われたからね」
だからこそというのだ。
「僕も決めたんだ」
「それでなの」
「うん、外で着る様な晴れ着なら」
ジークフリートはワルトラウテにだ、ドレスを元の場所に戻してもらってだった。自分も手伝ったうえで。
そしてだ、彼女の手を取ってだった。一緒に。
その晴れ着のコーナーに行った、すると。
ワルトラウテは目を瞠ってだ、こう言った。
「これね」
「どうか
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