第一話 植物園でその四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「カウンターテノールな」
「何だそれ」
「カウンターテノール?」
「歌の声域であるんだよ」
そのカウンターテノールを出した者が話す。
「裏声で女の人の声で歌う人だよ」
「へえ、そんな人いるのかよ」
「そんな人もいるんだな」
「オペラ歌手で少ないけれどいるんだよ」
そのカウンターテノールがというのだ。
「凄いぜ、CD聴いたら完全に女の人だしな」
「そんな人いるんだな」
「じゃあ蓮見はそれか?」
「カウンターテノールか?」
「それか?」
「そうかもな」
こう言うのだった、その彼は。
「まあこんなこともあるのかな」
「そうか、蓮見はか」
「カウンターテノールか」
「それか」
「俺が思うにはな」
こう前置きもするのだった。
「蓮見はそれだろ」
「カウンターテノールか」
「それなんだな、こいつは」
「ああ、ただな」
彼はこうも言った、首を傾げさせつつ。
「カウンターテノールって歌う時に裏声で出すんだよ」
「地声じゃなくてか」
「裏声なんだな」
「それで歌うんだな」
「そうなんだよ、けれどこいつはな」
優花はというと。
「普段からだろ」
「ああ、女の子の声だよな」
「しかも外見もだからな」
「小柄で筋肉質じゃなくてな」
「身体つきも丸いよな」
「睫毛はやけに長いし」
「髪の毛の質もな」
そちらもというのだ。
「女の子みたいだな」
「っていうかこいつ前はもっと男っぽくなかったか?」
「あっ、そういえばそうだな」
「少し前はな」
「もっと男っぽかったよな」
「雰囲気とかな」
「前よりもな」
さらにというのだ。
「女の子みたいになったよな」
「そういえば声もな」
「余計に高くなったな」
「あと顔もな」
「どんどん女の子みたいになってるな」
「そうかな」
優花は彼等のその言葉に首を傾げさせて返した。
「僕そんなに女の子みたいになってきてるかな」
「何かそんな感じするんだよ」
「俺達の気のせいかも知れないけれどな」
「ちょっとな」
「そんな気がするんだよ」
「ただそれだけだけれどな」
「まあそれ位にしてくれるか?」
ここでだ、龍馬が友人達に言った。優花の前に立って彼を護る様にして。
「そうした話は」
「ああ、じゃあこれでな」
「蓮見にも悪い話だしな」
「これで止めるな」
「もうな」
「そうしてくれよ、御前もな」
その優花にもだ、龍馬は言った。
「気にするなよ」
「うん、気にしてないよ」
優花は龍馬に微笑んで答えた。
「そうかなっておもっただけれでね」
「ならいいけれどな」
「じゃあもう昼だしな」
「食堂行こうぜ、食堂」
「うどんでも食うか」
「そうしようか」
そうしたことを話してだ、そしてだ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ