一章
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はらんだまま己の欲のみで動いた
人間の考えたことはひとつ
"これでティナが手にはいる"
雫神たちは惨殺され、追いたてられ、生き残ったものたちは閉じ込められた。それはマーテルについて、ティナの精製について知識を得るためであり、慈悲の心もなにもない。必要なものは生かし、不要なものは死んでいった
それから、冒険者たちは雫神に成り代わり、神の代行者として人々から崇め奉られる存在となった。マーテルからティナを奪い、掌握することで世界を自らのものにした
「……マーテルは、ティナを作るのを止めようとしたんだ。でも、雫神のみんながマーテルの人質だから、マーテルは作り続ける。直接その場に出さないのがギリギリの抵抗。冒険者たちはぼくの一族をいっぱい殺したから……メンスもアニムスも、ティナのことも、わかってない」
「わからねぇな。なんでそいつらが来たときに返り討ちにしなかった?おまえの言う魔法は、そんな役にたたないもんなのか?」
「力はあっても、使い方を知らなかったんだよ。ぼくも雫神の平和主義っぷりには参っちゃう。もうそんなことも言えなくなっちゃったからぼくはバリバリできるんだけど。昔の雫神は……ね」
ぼくの知らない昔々の雫神たちのはなし
残酷だと思う。でもほんとは……
「自業自得だな」
おっしゃるとおりです
「おまえみたいなガキがやるべきことでもねぇだろ」
「違う。ぼくは何とかしたいって。そう思ったんだ。でも……怖かったんだよ!マーテルから飛び降りるの!先生の魔法があっても不安で不安でしょうがなかったよ!!」
「……もっといい方法なかったのかよ」
「だって!閉じ込められたまんまじゃダメだし、今までと同じことしてもだめだし!それなら外の世界から頑張るしかないじゃん!その前に外の世界にいくのに頑張んないといけなかったの!!」
そのとき、ふと思い出した
もうひとつの辛い昔話
「……もひとつ言うけど、戦うひともいたよ、雫神じゃないけど」
「ほぉ?」
「もう……種族の名前さえ、なくなっちゃったんだけどね」
彼らは、戦おうとした。傷つけかたも知らなかったけど、守るために戦おうとしたんだ
でもマーテルが拒んだ
マーテルが拒んで、雫神が人質にとられて
冒険者は一人残さず、戦おうとした彼らをマーテルから突き落とした
「書物とかも全部。字は人間には読めないし、雫神はあてにできないし、それならいっそ消えてしまえって……。ほんと、ひどい……」
落ちていった名前も姿も忘れられた彼らは、唯一頑張って戦って何とかしようとした人たちなのに
あとにはなにも残らない
「……ぼくはさ、そんなやつらが世界の神の代行者で
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