第9章 その後 第99訓練施設にて
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
た。残るはずもなかった。
絶望の淵に立たされたという
そんな中支えになってくれたのが奥さんであるメイリン元中佐であった。
という話をしてくれ、最後に元少将は
「エーゲ人は遺体がなくても、宇宙の塵になってもその人たちの友人・恋人・両親の心そしてこのエーゲの地に生き続ける。大尉。どうかそこを忘れないでほしい。」
と繰り返し言っていた。
私はつい敬礼をしてしまったが、元少将は照れ臭そうに
「もうここ5年間近く敬礼をされてないんだ。恥ずかしいからよしてくれ。」
と笑いながら言った。
その後、メイリン元中佐とニコールが作った料理を食べた。
そして、元少将の話を聞きナセルの墓を訪ねた。
軍人墓地は整然ときれいにエーゲ産の大理石で作られた白い墓標が並んでいた。
ナセル少佐のを探した。
ナセル少佐の墓は一番古い地区にあった。
しかし、私はリストを見て目を疑った。
リストの順番はファミリーネームのアルファベット順で並んでおりそれを見ると
「ベン・ガルシア 中尉 宇宙歴 789年戦死 ヘンシェル星系攻防戦
ディック・ガルシア 少尉 宇宙歴 789年戦死 ヘンシェル星系攻防戦
エレン・ガルシア 少尉 宇宙歴 787年戦死 第4次イゼルローン要塞攻略戦
ナセル・ガルシア 中尉 宇宙歴 792年戦死 第5次イゼルローン要塞攻略戦
…」
と書いてあった。
確かナセルには兄弟がいたはずだがまさかと思って
詳細資料を見ると
全員父母はクリス・ガルシア、メイリン・ガルシアとなっていた。
つまり、ガルシア家にはすべての子供たちを失ったということであった。
これを見ていたニコールも言葉を失っていた。
私はいたたまれなくなって献花用の花をもう3つ購入しナセル含めて4人の兄弟に献花した。
ナセルの墓標には
「ナセル・ガルシア 少佐 宇宙歴 792年戦死 第5次イゼルローン要塞攻略戦
エーゲ人として死す」
宿に帰ってクリス元少将にその話をすると
「5人の子供のうち4人を戦争で失った。
残りの末っ子の女の子は今大学生だが予備役将校訓練課程をうけるそうだ。
私は止めはしないし、止める権限もない
ただ、本人とその時代の流れに任せるしかない。」
と言って顔を伏せられた。
その翌日私たち2人の休日は終わりを告げた。
会うたびに今度はいつ会えるかを考える。
そして、最後には次必ず会えるようにお互いの幸運を祈って口づけをして別れる。
こうして私にとっての休暇は終わりをつげ、教官としての勤務も終わりに近づきつつあった。
そして、10月1日の前線復帰をただただ待ち続ける日が続く宇宙歴 792年 8月であった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ