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アインクラッド篇
movement U 絶望と希望の二重奏
VS閃光--A
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渋々受諾を選択。60秒のカウントダウンが始まる。思えば前回は、お互いにかっとなってろくに考えもせずに突っ込んだ節があるので、実際に本気でやるのは今回が初めてだろう。
10
相手の構えは中段。恐らく初撃は隙の少ない単発突き
9
対するこちらは下段。ほぼ大抵の攻撃ならこれで防げる
8
距離は5m強、俺やあの女の敏捷値なら一秒未満だ。
7
相手の鋒が僅かにぶれる。狙いを定めているのだろう。
6
揺れ動いていた刀身が定まる。視線は右の脇腹辺りを狙っているが十中八九フェイント。
5
目を閉じる。神経を極限まで集中させる。
4
もっと深く、自身の内側に潜り込むように。
3
世界から一瞬感覚が消える。次いで、今までの倍以上の情報を聴覚が伝えてくる。
2
柄をもう一度強く握り、息を吐く。
1
目を開く。先ほどまでの視界は、靄でもかかっていたかのように思えるクリアな世界。全てを見透かせるようにすら思える。
DUEL!!
この文字列が閃いた瞬間、閃光がその名に恥じぬ速度で突っ込んでくる。攻略組に名を連ねるプレイヤー達ですら、十人中九人は見えないであろう神速の突き。しかし、恐らく攻略組最高の敏捷値をもつシエラさんや、ソラの鞭の先端速度に慣れている俺には、その一挙一動が手に取るように見えていた。こちらに迫る鋒は最初、右の脇腹を目指していたが、途中で軌道を変え、右肩にその狙いを移す。まだだ。まだ避けない、まだ、まだ、まだ…………
ーーーここっ!!
ギリギリまで引き付けた刃を、右足を半歩退き、紙一重でかわす。必中の突きを外された閃光の目が、驚愕に見開かれる。そのまま回れ右の要領で一回転して背後に回り込み、がら空きの背中にブラッドクロスを振り下ろす。が、その一撃は、閃光がソードスキルを発動させることで自身を加速したことで、鋒が背中を掠めるだけに留まった。
「あらら、今ので決めるつもりだったんだけどな。」
「…………っ!」
細剣
(
レイピア
)
を構え直す閃光。まだ勝負は始まったばかりだった。
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