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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-37
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のともしない。何ら動ずることもなく、話を続ける。


「おそらくあいつは自分の父親に関する何かを手に入れてしまった。それも軍としての基盤が揺るぎかねないほどのものを。あいつが復讐に走るとは考えにくいが、何か考えがあってのことだと思う」
『……それで? それがどうしてナタルが生きていることにつながるんだよ』
「あの部隊で唯一生き残ったクリストファー・アンダーソンは、ベンジャミン・ファイルスの娘であるナタルを数回勧誘していたそうだ。独立した部隊にな」
『……まさか』
「ああ、そのまさかだ。所属していた記録は残っていないが、アメリカ軍の情報を横流ししていた可能性がある。それにあの部隊の元メンバーはほとんどが亡国機業(ファントム・タスク)の幹部メンバーだ」
『そんなこと信じられるかよ。……信じてたまるかよ!』
「だが、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が暴走した時、それを対処したのが、篠ノ之束と見袰衣蓮だった」
『……出来過ぎじゃねえか、そんな明らかに人が仕組んだ、自作自演のようなものになるのか?』
「可能性があるとしか言えない状況だったが、現実成った」


 思えば、最初に一夏たちを行かせて失敗することも考慮していたかのようにあの二人は準備していた。千冬でさえ、これは失敗するだろうと睨んでいたから言ってしまえば仕方のないことかもしれない。でも、本当にそうなるとは限らない。
 福音は操縦者の意識がなく、ほぼ自動操縦だった。だが、セシリアは気になることを言っていた。


「もしかしたら、あの福音暴走は起こるべくして起こっているかもしれない。もしオルコットが言っていることが事実であるとすれば、そもそもの前提が崩れる」
『ナタルが意識を失っていなかった……それであいつが自ら操縦してIS学園の臨海学校を襲ったとでも?』
「ああ」


 イーリスは黙るしかなかった。今までどこか微妙にずれていた歯車が綺麗に噛み合って回り始めている。千冬の推測を聞いてしまった今では、もはやそうとしか考えられなくなっている。それに千冬の言っていることが事実であれば、あの事件もすべてのことに説明がつけられる。
 思い返せば、ナターシャはたまに不自然なことをしていた。それがすべて復讐のためだとしたら?
 それでも一つ分からないことがある。ナターシャの居場所だ。


 イーリスは千冬の推測を聞いて、その確証性の高さもあることから反論することさえできずにただ愕然とするしかなかった。
 取り敢えず今のところは、慎重に調べていく必要がある。そう二人は決断を下した。
 だが二人は知らない。この時にもし強引にでも何かしら行動していれば、これから起ころうとしていることを引き留めることが出来たことを。


 ◯


 いつか見た一室。そこはまる
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