宇宙編
月決戦編
第25話 始まる戦い、変わる心
[8]前話 [1]後書き [2]次話
「うん…ぅう?」
重たい瞼を上げ、体を伸ばす。
「4時間…寝たか…」
あの戦闘から2日…
いよいよ月決戦の日。
既に配置も決定し、あとは出撃を待つのみだ。
「俺は自分の意思を貫く…」
ノーマルスーツに着替えていると、連絡用の艦内通信機が鳴った。
「はい、もしもし」
「フーバーか、ブリーフィングルームで作戦会議だ、来い。」
グラン大尉の声だった。
「はい、了解です」
素っ気なく切り、ため息を吐く。
「やれやれ、朝飯抜きは体に悪いぜ」
ブリーフィングルーム
「やはり、全員認識していると思うが、我が艦隊と月防衛隊の戦力差は歴然、真っ向勝負なら玉砕必至だ」
薄く嗄れ、しかし威厳のある艦長の声が部屋に響く。
「しかし、これを見てくれ」
モニターに映し出されたのは…
「これは、月都市の防衛設備とMSカタパルト、それに補給用の小規模基地か…」
「そう、我々の偵察部隊がキャッチした情報だ」
モニターを指しながら話は続く。
「これを見ればわかると思うが、奴らの防衛設備には穴″がある」
「穴だって?」
一瞬、周囲がざわめく。
「うむ。例えばここ」
艦長が、月面の砲台の横を指す。
「このポイントは、砲台も少なく、MSカタパルトもない。
よってこのポイントに上陸、制圧して、補給用の小規模基地を頂く。」
「なるほど、そうすりゃ、継戦能力の差は埋まるってわけか」
「その通り。しかもここは外域がデブリの暗礁宙域だ。シャア総帥の艦隊も気づかれにくい為、援軍の到達も用意ということになる。」
「よって我が艦隊はこのポイントの制圧を最優先、その後此処を起点とした部隊を展開し、月都市を制圧する!」
「ねぇ、フーバー」
「ん?」
「この作戦、成功するよね」
不安そうな顔を浮かべるアイラ。
「大丈夫だよ、きっと成功するさ。だから…」
「死ぬなよ、絶対に。死んだら何にもならないんだからな…」
それは、フーバーの心から出た本意の言葉だった。
「うん、でも。フーバーも絶対生き残るんだよ?」
「ああ、もちろんだ」
しかし、これは嘘。
悪いな、アイラ。
前に、戦いを終わらせる為に戦うと言ったけど、あの人の言葉を聞いて何が正しいのかわからんなくなった。
だからさ。
だから俺は、この命を失っても、散っていった仲間の思念を継いで戦うと決めたんだ。
だから…
フーバーの心は、揺らぐことない強い思念を持っていた。
[8]前話 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ