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勇者番長ダイバンチョウ
第16話 熱血ボルテージ100%!これが怒りの熱血モードだ!!
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 広大な宇宙の何処かに浮かんでいる小惑星帯。見られる物全てが石の塊で出来た物ばかりが重力の無い漆黒の宇宙の中で浮かんでいる。
 そんな小惑星帯のとある石の上にて、それは一人静かに鎮座していた。まるで戦国時代の武将を思わせる朱色の甲冑を着こなし、兜の外へと飛び出している銀色の髪が星の光に照らされて輝いている。
 右手には鞘に収められた一本の細身の刀が握られていた。顔立ちからして若武者の様にも見られるが実際のこの者が我々地球人と同じ年齢なのかは甚だ疑問だったりする。
 男はひたすらに待っていた。その場から一歩も動かずに、静かに精神を研ぎ澄ませながら。突然辺りを強い光が照らし出した。
 後方から迫ってくるのは巨大な彗星だった。青白い光を放ちながら広大な宇宙を高速で飛んでいる。その彗星が男の居る小惑星帯を通過した刹那、男は微かに動いた。
 その動作は一瞬の内に終了した。何時の間にか男は両手に刀を持っており、刀身を僅かに抜いていた。僅かに外界に照らされた刃が鋭い光を放っている。
 音を立てて男は刀身を鞘の中へと納めた。それとほぼ同時に男の居た小惑星帯を通過していた巨大な彗星が縦一文字に亀裂が走り、ものの数分もしない内に真っ二つに両断されてしまった。
 二つに分かれた彗星はそのまま互いに別々の方向へと進んで行き、やがて見えなくなってしまった。あの彗星の行き先になど興味はない。今、この男にとって大事なのは巨大な彗星を切る事が出来たこの愛刀なのだから、

「流石は名刀と誉れ高き我が愛刀よ。彗星如き一太刀で両断するとは、作ったこの私自身でさえ驚かされる」

 再び鞘から刃を抜き放ち、その刀身を繁々と眺めながら男は呟いていた。彗星を切ったであろうその刀には埃一つついていない。とても満足気な表情で男はその刀を見つめていた。

「誰だ、其処に居るのは?」

 ふと、さっきまで刃に注いでいた目線を後ろへと向ける。其処から現れたのは物腰の低そうなとても弱弱しい二人組の異星人であった。

「いやぁ、流石は宇宙にその人ありと言われたケンゴウ星人様ですねぇ。今の一太刀、惚れ惚れしました」
「御託は良い。この私に何か用事でもあるのか?」
「へへっ! 実はそうなんですよ。あんたに是非斬って欲しい案畜生がおりましてねぇ」
「断る。私は好き好んで人斬りはせん主義だ」

 異星人達の頼みすら聞かずに、ケンゴウ星人はその場から立ち去ろうとしだす。そんなケンゴウ星人の両足に異星人たちは食らいついた。

「ままま、待って下さい旦那ぁぁ! あっしらの話を聞いて下さいよぉ」
「むぅ……よかろう、話して見ろ」

 余りにも必至な形相で食らいついてきたものだからか、さしものケンゴウ星人もその手を払いのける事はせずに二人の話を聞く事にした。話を聞く態度になった途端
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