第9話 ゼクト vs エルザ
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全てを上昇させてくれる。それはまさしく飛ぶが如しだ。隙を見せたゼクトに、……完全に油断をついたと思った一撃を当てたと思った。間合いに入って……間違いなく攻撃を当てたと思った。
そう錯覚する程、完璧なタイミングだったのだ。
「感触が………まるで……、無い」
振るった剣に、何も残らなかったのだ。当てた、と思った。いや、当てた筈なのに。
だが、あの刹那の瞬間、エルザは見た。
それは、ゼクトが両の手を合わせた。あの刹那の時の狭間で。
『ふぅ……危なかったよ。それに怖かった……』
そう言いながら、エルザの背後。まだ砂埃が舞い上がる背後付近から、ゼクトは出てきた。
「ッ…… あの間合いで……あの速度で、いったいどうやって」
明らかに異常な速度だった為、エルザには冷たいものが、背中に伝っていた。
『え、えっと………。うん。質問とかには答えたいって思うんだけど……。 流石に、今 手合わせしてる相手に手の内を教えるのは……どうかと思うんだけど……』
ゼクトは、苦笑いをしつつも 困りながらそう言うと、エルザも納得をした様だ。いや、無理矢理納得をさせただけだ。動揺する心と身体を元に戻す様に。
「むぅ……確かにそうだなっ! なら………」
エルザは、飛翔の鎧を解くと。
「換装・天輪の鎧!!」
別の鎧へと変化させた。
戦闘の状況によって、様々なスタイルに変更出来る。かなりの応用力がある事が、ゼクトにはよく判った。だけど、それ以上に。
『わわっ!!』
エルザが変身? をする度に驚き、まるで歓声を上げる様に、目を輝かせていた。
「ゼクトの速さは飛翔の鎧でも追いつけないみたいだ。なら、……物量で押し切ってみせる!」
エルザは、剣を構え、その切先をゼクトに向けると同時に、宙に舞う剣達の切先が、エルザに連動する様に、一斉にゼクトへと照準を合わせていた。
それも、今現在エルザの周囲に浮いている剣だけではない。……次々と、エルザの回りに剣が現れているのだ。
『わっ…わわっ!! 凄いっっ』
1つ1つに驚いているゼクト。
それは……本当に純粋に驚いているようだ。……年相応の素顔がずっと出ていたんだ。
そんなゼクトの素顔を眺めているギルダーツはただただ苦笑いをしていた。
「ったく……あいつ。間違いなく、まだまだガキなんだよな。……オレとやったときはそんな雰囲気全く見せてなかったくせによぉ。……本当に良かったな」
「ふふ……。みたい、じゃな。……つまり、ギルダーツと戦っていた時とはまた違う。……まだまだ あやつは本気などなっていないって事かの?」
マカロフも隣に立っていた。
「ん? ああ、だろ
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