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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第十四話「訪れた春」
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「では、名残は尽きませんが別れの時が来たようです」
ポワンがそう言うとリュカは寂しそうにベラを見つめ、彼女も同じ様に見つめ返して来る。
本来、人間界と妖精界は交流を持たないのが当り前で事態が収拾された今、リュカ達も人間界へと戻らなければならなかった。
そしてそれは短い間とは言え、仲間として共に過ごしたベラ達との別離をも意味していた。
「寂しいね、ベラ」
「リュカ、私も寂しいわ」
二人は別れを惜しむように抱きしめ合う。
そんな二人を見つめながらポワンは告げる。
「リュカ殿、もし貴方が大人になり私達の力が必要になった時には私達は全力で貴方の力になる事をお約束しましょう」
「じゃあリュカ、暫くお別れね」
「うん。…ベラ、絶対また会おうね」
リュカは小指を立てて手を差し伸べるとベラも笑顔でその小指に自分の小指を絡めた。
「「「「リュカ…」」」」
その呼びかけに振り向いて見るとヒー達が寂しそうに俯いていた。
「リュカ、行っちゃう?」
「リュカ、帰る?」
「リュカ、お別れ?」
「リュカ、バイバイ?」
「ヒー、寂しい」
「ファイ、寂しい」
「プリー、寂しい」
「マー、寂しい」
「「「「やぁ〜〜〜〜〜」」」」
リュカはうなだれている彼等に近づくと笑顔で話しかける。
「お別れなんかじゃないさ!」
「「「「や?」」」」
「今、ベラとも約束したんだ、また必ず会おうって。だからヒー達ともまた会おう、絶対に!」
「そうだよ、きっとまた会えるさ。だってボク達は仲間で友達なんだから!」
「ガウゥーーーン!」
「ピイピイ♪」
「「「「ホント?」」」」
リュカはニコッと笑うと拳を突き出して叫ぶ。
「男同士の約束だよ!」
それを見てヒー達も笑顔になってリュカの拳を握っていく。
「ヒー、約束する」
「ファイ、約束する」
「プリー、約束する」
「マー、約束する」
「「「「また、リュカと会う」」」」
「「「「「やーーーーー!」」」」」
そして光が辺りを包んだかと思うとリュカは自分の家の地下室に立っていて、その手には淡い香りを放つ「桜の一枝」が握られていた。
「約束したよ、きっとまた会おうね。ベラ、そしてヒー達も」
リュカはそう呟いて階段を昇って行った。
「サンチョー、おなか減ったーー!」
「はいはい、ではそろそろお昼にしましょう。旦那さまを呼んで来てもらえますか」
「うん、分かったーー!」
こうして長き冬は終わりを告げ、サンタローズの村にも柔らかな日差しが射す春が訪れていた。
=冒険の書に記録します=
《次回予告》
リュカに何があったのだろう、少し目を離した隙に何やら一段と成長して
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