任務-ミッション-part1/囚われた者たち
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銀色に照り輝くホーク3号に手を添えながら彼女はサイトに尋ねる。
「あぁ。こいつもシエスタのひぃ爺さんが遺したんだって」
「え、でも…じゃあシエスタさんって」
「うん、俺たちと同じ地球人の血を引いてる子なんだ。魅惑の妖精亭のジェシカとスカロンさんも同じだよ」
「そうなんだ。私たちと同じ黒い髪と目をしてたから気になってたんだけど…そういうことだったんだ」
ハルケギニアでは黒髪と黒い目を持つ人間はほとんど見ない。この世界に来てから、ハルナは自分たち以外にそのような髪と目をした人間を見たことがなかった。だからシエスタ一家が持つ髪と目の色が、かえって珍しく見えた。
「シエスタさんのひぃお爺さんって、ひょっとして…ウルトラ警備隊の人だったの?」
ホーク3号は、数年前にGUYSが展覧会のような催し物を開いたとき、過去の防衛チームの戦闘機が空を飛ぶのをニュース番組で見たことがある。そして何より、地球で行方不明になっていたサイトのことを調べる際に、彼の義母であるアンヌが元ウルトラ警備隊の隊員だったことがきっかけとなって、その辺りのくだりもある程度詳しくなっていた。
「フルハシさん…その人がシエスタのひいじいさんだったんだ。俺も知った時はすごく驚いた」
日本文化を体現したあの墓に刻まれた文字は記憶に新しい。まさか母から聞いていた盟友が、異世界で出会った少女の曾祖父として天寿を全うしたなんて信じられなかった。
「…でも、フルハシさんは…帰れなかったんだよね?」
サイトを見ず、ホーク3号の船体を見上げながら、ハルナは呟いた。地球へ帰れず、この世界に留まり続けることに、また不安が募りだしたのだろう。
「ハルナ、正直俺だって不安だよ。こっちでも怪獣が出てきたし、しかもこの前は宇宙人も現れた。そのせいでこの世界がさらに悪い方向に傾いて、俺たちの世界で起こったような恐ろしいことが起こるかもしれない。
俺、この世界に来るまで…ウルトラマンや防衛チームの人たちに、ただ憧れていただけたった。でも、今の俺にだって最悪の未来が避けるために何かできることがあるはずなんだ」
「平賀君…」
「ウルトラマンたちが、どんな状況でも奇跡としか言いようがないことを起こしてきた。彼らと戦ってきた地球防衛軍の人たちだって、負けないくらい頑張ってウルトラマンたちを助けて地球を守ってきた。それを知っているから、俺たちにも何かできることがあるはずなんだ。
『可能性は…ゼロじゃない』」
「平賀、君…」
自分の知っているサイトは、確かに昔から強く惹かれた部分があった。でも普段の彼は授業中で寝ることが多かった。体育の先生から叱られた後、その先生が視線を外している間にネチネチと小声で先生への悪口をぼやいていたり、男友達と時にスケベな話をすることもあったりと、どこにでもいるような普通の男子高校生
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