任務-ミッション-part1/囚われた者たち
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なぜか声が出なかった。出すことができなかった。奴の視線から感じ取れるものに、すでに気圧されていたのだ。奴は魔法に耐えられるだけの絶対的自信がある。なぜならさっき実際にそれが本当であることを見せたのだから。
(なんでだ…なんで声が出ない…!?早く唱えろ!唱えるんだ!)
心の中で自分に呪文を唱えるように言うが、全く声が出せなかった。足が震え、喉が渇き、酷い脂汗が流れ落ちる。結局、彼は魔法を放つことさえできなかった。ボーグ星人の放つ気迫と自信を前にして、戦う前から負けていた。
「ふん。商品ごときが」
面白くな下げにボーグ星人は扉を閉めて去って行った。ふぅ…とため息を漏らしたのち、レイナールがその生徒に向けて口を開いた。
「冷静になって考えろよ。あんな奴らに特攻したところで、僕らを賛美する奴らなんて一部だけだし、ここがどこなのかもわからない。誰が語り継げるというんだ?
寧ろ、得体のしれない奴に殺された間抜けとしか思われない。ただの無意味な自己満足なんだよ。第一…奴の一言で明らかに恐怖していた君に、華々しく散ることなんて到底無理だ」
「こ、これは…!ちょっとびっくりしただけだ!ちょっと…」
最後まで貴族としてのプライド故に見栄を張ろうとしたが、体は正直というべきか、恐怖で震えきった足のせいで立つこともできなくなってしまっていた。
「…ちくしょう…」
「君だけじゃないんだよ。みんな…悔しいんだ」
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