任務-ミッション-part1/囚われた者たち
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ちを誰だと思ってるんだ!」
「貴族にこんな真似をして、ただで済ませると思うのか!?」
どこなのかもわからない、広々としたとある一室。その中で響き渡る、同じ魔法学院の生徒たちの、罵声。
「な、なんだ…?」
そのフロアは自分たちを誘拐した者への罵声が飛び交っており、最早騒音といっても差支えなかった。自分たち貴族は始祖ブリミルの祝福を受けた選ばれし者。そんな自分たちがこんな目にあわされるなどもっての他だ。彼らがこれまでの長い歴史で無駄に培ってしまった傲慢さが、罵声の中に含まれていた。扉の前で、囚われとなった人たちは喚き続けた。
「くそ!エア・ハンマー!」
捕まった人たちの中で、魔法を使って扉をこじ開けようとしたり、壁に穴をあけようとしたが、犯人の作り出した強固な扉も壁も全くの無傷だった。
「だめだ…やっぱり開かない!」
「アンロックの魔法はもう使ったのか!?」
「あんなコモンマジックで開くなら魔法を放つわけないだろ!」
いったいここはどこだ?ギーシュは混乱した。床は無機質な金属で、部屋は薄暗いライトで照らされている。学院の生徒たちが誰もかしこも、壁をたたいてここから出せとわめく。ならば力づくで外に出ようと魔法を放つが、壁に傷一つ入らずに地団駄を踏む者もいた。
「みんな、あの変な怪人の黒い水をかけられた途端にここに来ていたそうだ。僕もそうだった。君たちも見ただろ?」
「ええ、見たわ。いきなり私を乗せていた馬車にあの目がギョロギョロしていた変な怪人に襲われて…」
「黒い…怪人?なんだいそれは?」
「は?」
しかしギーシュは全く覚えがなさそうに首をかしげていた。その反応は3人には予想外だった。
今回アンリエッタがサイトたちに伝えた魔法学院生徒誘拐事件。その実行犯としてケムール人が動いていたことはすでにこれを見ている皆様にはお伝えした通りだ。
しかし、このギーシュという男、誘拐されたその時点での記憶が全くないのだ。
そのまさかだった。
実を言うと、ギーシュは馬車で学院に戻っている間、眠りこけている間に馬車を襲ってきたケムール人に黒い液体をかけられたのだ。しかも水を思い切りかけられたというのに、目も覚まさずここに運ばれてしまったのである。
「いったいどうなってるんだ!?僕はいつここに連れてこられたんだい!?いったい誰が何のために!?」
「「「…はぁ…」」」
自分が誘拐されていたことに気付いてもいなかったという、貴族の子息にあるまじきことだった。立場上よからぬものに狙われることだってあるというのに、あまりに不用心だった。
なんとなく、ギーシュが自覚なしにここへ連れてこられてしまったことを察し、モンモランシーはそうに違いないと結論付けた。我が恋人ながら情けない…。どうしてこんな男に未練たらしく付き合い続けているのか自分でもよくわから
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