会談-ブリーフィング-
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…か)
ふと、サイトの脳裏にシュウの後ろ姿が映る。アンリエッタが今回の会談で招くはずだった一人であるシュウが、この日は来ておらず、それどころか自分の方からも連絡を取ることができなかった。
(連絡が着かないなんて、あいつに一体どうしちまったんだろう…)
あいつにだって、帰りを待っている人がいるはずだ。あの村…ウエストウッド村にいたティファニアたちが。なのに…。
『サイト、それを確かめるのも兼ねているんだ。今度の任務は。もしあいつの身に何かあったら、今まで助けられた借りを返してやらないとな!』
今のサイトの心情を察してか、ゼロがサイトにそう言ってきた。
『ああ…そうだな!』
考えてみれば、サイトとゼロは今までシュウから何度も助けられてきた。しかしその恩を一度も返していない。今回はその絶好のチャンスでもあった。
すると、サイトは自分の腕に何か和ら無いものを感じた。まるでマシュマロのような甘い感触がする。
「「あ!!」」
ルイズとハルナの大きな声が聞こえる。よく見ると、シエスタが油断しているサイトの腕にギュッと捕まってきたのだ。
「し、シエスタ!?」
「サイトさん…やっぱり優しいですね。私、また一つサイトさんが好きになってきちゃいました」
もちろんサイトはいきなり美少女から抱きつかれるというシチュエンーションに、胸が一瞬高鳴ってしまう。
「あ、あのシエスタ…」
「はい、なんでしょう?」
「そろそろ手を…」
「嫌です♪しばらくサイトさんとまたしばらく離れてしまうのですから…これくらい許してください。それとも…私からこうされるのは、お嫌ですか?」
しかも、熱っぽい目でじっとまっすぐ見られ、彼女の大きな胸がサイトの二の腕をすっぽり包むほど押し付けられている。
「いや…その…」
その時、サイトは背後から激しい悪寒を感じていた。その原因は…言わずともわかるだろう。背後から突き刺さる二つの視線が、サイトの胃と心を…いや、体そのものを貫こうとしているのをサイト走っていた。
(うぅ…胃が痛い…)
『もてる男って…つらいねぇ』
(こいつ…ッ!他人事だと思って…)
サイトの中にいるゼロも、一体化しているとはいえ、もとは別人で赤の他人。完全に他人事として静観を通すことにしていた。
「いやぁ…女ってやつは怖いねぇ。にしても…俺っち、やっぱ影薄くなってない?」
壁に立てかけられたデルフがため息交じりに呟いていたが、誰も聞いていなかった。
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