不安-エンザイエティ-part2/解ける誤解
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ロンディニウムの宮殿の執務室…。
「…残念ですが、虚無の担い手は炎の空賊どもの手により逃亡に成功しました」
「ちぃ…」
クロムウェルからその報告を聞いてシェフィールドはイラついていた。アルビオンから脱出する虚無の担い手を結局逃がしてしまった。
利用できるものは利用する。そのためにシェフィールドはあらゆる手段を講じた。
一度目の、ムカデンダーやあのインテリジェントナイフを使った作戦の失敗。インテリジェントナイフに、ウルトラマンに変身するあの虚無の担い手を妬む子供を利用させ、場合によっては殺害か確保し、虚無の担い手も捕まえる。しかしウルトラマンからいらぬ怒りを買ったこともあり失敗した。
二度目も、あんなイカれた思考を持つあの黒い悪魔に頼ったばかりに失敗した。奴は虚無の担い手の確保よりも、その使い魔である銀色の巨人との戦闘の方を楽しみ過ぎていた。
おかげでアルビオンの虚無には逃げられてしまった。いずれ我が主に献上するために早いうちに捕まえようと考えていたのに…!
「役立たずが…」
ここにはいないメンヌヴィルに対して悪態をつく。どうしようもないとはいえ、言いたくなる。主はあまり深く気にしないタイプだとしてもだ。
現在、もう一つの手段として、彼女はいつしかこの星に侵入してきた、自分の傘下に入っていない異星人とのコンタクトを取り始めていた。しかしこの星は宇宙進出を果たしておらず、それを成し遂げるまではいったいどれほどの時間がかかるかもわからない程度の文明レベルにしか達していない。当然星人たちからは舐められた。『文明の遥かに遅れた野蛮な星』だと。ルイズがもし聞いていたらどれほど爆発させてくるかわからないほどの侮蔑だ。しかしそれでも彼女は、虚無の担い手であるルイズとティファニアの捕獲のために、星人たちに彼女の捕獲を申し出ることがあった。星人たちから見てその頼みは奇妙なものだった。なぜたかが小娘二人を捕まえたがっているのか。星人たちの中には、頼みを聞く気もないものがいたり、逆にその娘二人には何か秘密があることを確信したものとさまざまだった。後者の方は、ルイズたちがこの女を出し抜くカードになると読んだ。
当然そのことはシェフィールドも読んでいた。だから今…自分の傘下にある星人の協力を得て、『自慢の戦力』を蓄えている最中だった。先にルイズたちを捕まえた星人たちをその『自慢の戦力』を突きつけることで跪かせる、または自分たちが先に捕まえ、星人のルイズたちの虚無への欲求を利用して味方につける…裏切られるとしても瞬時に切り捨ててしまえばいい。それが成せるだけの力を自分は隠している。
全て自分の主である『あのお方』を喜ばせるための算段だった。
「いかがしますか?落下地点はおおよその予測がついていますが?」
「そうね…」
しかしだからといっていつまでも逃がし続け
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