不安-エンザイエティ-part2/解ける誤解
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はある意味奇跡なのだろう。
いまだ、ハルナがサイトとの関係についてとやかくは言わずとも、心のどこかで、自分こそサイトを独占する権利がある!ルイズみたいな誘拐犯なんかに資格はない!と、やや傲慢な考えを抱くことがあっても不思議ではない。
「そりゃ、ハルナが嘘をついたことはよくないことだよ。でも、それをハルナは認めて、ちゃんと謝ってくれた。だから…許してやってくれ」
「……わかったわよ」
原因をたどり続けるときりがないが、サイトを自らの手で召喚したこと。それが最大の原因ともとれるのだ。ルイズはハルナのことを許すことにした。それに、冷静に考えてみれば今回のシエスタの案から始まった『北風と太陽作戦』も、下手をすれば自分たちやハルナの体を壊しかねないものだ。実際、ハルナはサイトへの想いをバネに作戦中も根を上げようとはしなかった。
「私も、ハルナさんのことは水に流しますね」
シエスタもハルナのことを許すことにした。
「みんな…ありがとう…」
皆の優しさを感じ、ハルナは涙を拭きながら感謝の言葉を皆に向けた。
「そういやさ、ハルナと最初に会った時も、さっきのケムール人の時みたいな感じだったよな」
「私と、初めて会った日…?」
「ハルナさんとサイトさんの出会いですか?」
突然、話に補足を入れるように気になることを口にしたサイトの言葉を聞いて、顔を上げてきたハルナ。ルイズたちも、恋敵でもある彼女とサイトの出会いの話と聞き、気になって耳を傾けてきた。
「いや、ちょっと思い出したんだ。確かハルナの顔を初めて見たとき、ハルナは不良みたいな他校の生徒に絡まれてたんだ」
「へぇ、じゃあその不良から助けたのがダーリンだったわけ?」
恋に関することには特に察しが強いキュルケが言う。さすがは自分が惚れた男、と熱っぽい目で彼を見たが、サイトは苦笑いを浮かべながら頷いた。
「まぁ、結果的にはね。でも今思えば、正直かっこ悪い助かり方だったな。『指一本触れさせねぇぞ』って大口叩いてたけど、俺足震えてたんだよ、めちゃくちゃ怖くて」
『へぇ…やるじゃねえか、サイト。足の震えなんか気にしなくていいじゃねえか。自分が怖いって思うよりも、目の前の女の子を助けたいっていう思いの方が強かったんだ。もっと誇れよ』
『そ、そんなことないって…ただ、放っておくことができなかっただけなんだ』
下手をすれば返り討ちに合う。殴られて病院送りにされる。そんな恐怖に臆しながらも、それ以上にハルナを助けたいという勇敢な行動。話を聞いていたゼロも関心を寄せていた。
「………」
しかし一方で、ハルナの反応は意外なものだった。表情が晴れていない。言葉にしていなかったが、その顔は明らかに「そんなことあったかな?」と言っているようにしか見えない。
「あれ?もしかして、忘れちゃった?」
「え、…ううん
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