不安-エンザイエティ-part2/解ける誤解
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浮かべる。なんと言葉をかけるべきか悩む。すると、タバサがキュルケの制服を軽く引っ張って気を引いてきた。
「何?」
尋ねてきたキュルケに、タバサはその杖の先を学院の入口の門へ向ける。
「おーーい!!」
「ダーリン!」
「え…?」
沈んだ顔を浮かべていたルイズ、シエスタ、ハルナの三人が顔を上げた。
「サイト!?」
どうしてサイトが!?確かに彼は目の前で消されたはず。動揺している間に、サイトは彼女たちの前に駆け寄ってきていた。
「無事だったの、平賀君!?」
「ああ。実はさ、ケムール人のあの水には殺傷力は何もないんだ。ただ、まったく別の場所に転移させるだけ。転送された時、ゼロが俺を助けてくれたから戻ってこれたんだ。心配かけてごめんな、みんな」
頭の後ろを掻きながら、サイトはいらない心配をかけてしまったことを詫びた。
ケムール人に黒い液体をかけられ、別の場所へ無理やり飛ばされたサイトだが、その直後にウルトラゼロアイを装着してゼロに変身、すぐにテレポートして戻ってきたのだ。
「バカ!てっきり死んじゃったかと思ったじゃない!」
ルイズがサイトの胸に飛び込んできて、泣きそうな声を上げる。そんな主を彼は兄のような優しい手つきで、その頭を優しく撫で下ろした。
「それよりハルナ。大丈夫か?人質に取られたし、それ以前に病気だろ?」
「あ…」
そう、まだサイトはハルナが仮病であったことに気付いていない。そのことを失念していたハルナは、息を詰まらせた。でも、言わなければ。
「…ごめんなさい平賀君。実は私…仮病だったの」
ハルナは勇気を出して、自分が仮病だったことを明かした。
「仮病…って…ええ!?ハルナって仮病だったのか!?」
まったく気づいていなかったようで、サイトは思わず大声を上げた。それを聞いてルイズも思い出して声を上げた。
「そ、そうよ!そういえばあなた、仮病使ってたわね!」
「え、ルイズも知ってたのか!?」
「…気づいてなかったのはあなただけ」
ルイズがハルナの仮病にすでに気づいていたことに驚くと、タバサが横からサイトに一言突っ込む。
『…あの、もしかしてゼロ、お前も?』
自分しか気づいていなかった、ということについてもしかしたらと思い、一体化しているゼロにも尋ねてみる。
『ああ。けど、あの子がやたらお前を求めている気がして、水を差すのもあれかなって思って黙ってたんだ』
ハルナに対して、これはサイトにも言えたことだが、ゼロは自分の意思と関係なく故郷から追いやられた者同士として共感している部分があった。だから彼女の仮病をあえて黙っていたのだ。自分が故郷から追い出された時と同じ孤独感を、自分と違って何も悪いことをしていないハルナには味あわせないために。
『けど、俺も甘かったな。突然違う世界に押し込められた気持ちは、追放処
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