不安-エンザイエティ-part2/解ける誤解
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。ゼロの体を黒い液体がすり抜けた。
「!?」
いや、すり抜けたのではない。早すぎてそこに立っていたゼロの姿が残像として残ったのだ。だからすり抜けたように見えたのだ。
辺りを見渡してゼロの姿を探し回るが、見つからない。その直後、ケムール人の体に猛烈な一撃が叩き込まれ、ケムール人は前のめりながら倒れた。ケムール人の背後には、既にゼロが現れ、奴に猛烈な鉄拳をお見舞いしたのだ。
「へっ。同じ手が通じるか!そもそもそんなもん、テレポートできる俺たちウルトラ戦士に効果はないんだよ!」
そう、ケムール人が放つあの黒い液体には、実をいうと殺傷力はない。ただその場所から異なる場所へ強制的に転送されてしまうだけなのだ。そして万が一消されても、ウルトラ戦士はテレポートを使って元の場所に戻ることが可能なので、たとえこの液体を浴びせられることになっても大した問題ではなかったのだ。
「さっきのお返しだ、くらっとけ!!」
ゼロは手裏剣を投げつけるように、シュ!と右手を前に突き出す。すると、彼の右手の指先から一発の小さな光弾が放たれ、ちょうど着弾地点に足を踏み入れたケムール人の足元で爆発する。
「ブオォ!!?」
今の爆発に驚き、ケムール人はそこで立ち止まる。その隙は見逃さない。さらにもう一発
放ち、そして立て続けにゼロは手から光を連射し続けた。
その技は〈手裏剣光線〉。父ウルトラセブンも使ったことがある光線技の一つだった。
「シュ!シュ!!ハッ!!ダァ!!」
足元で連続して爆発し続ける地面。ケムール人は普通に立つこともままならず、慌てて避け続けていくが、いつまでもそれを続けられるほどの体力は持ち合わせておらず、ついに数発ほどの手裏剣光線が奴の体に被弾し、ダウンした。
止めだ!
ゼロは額のビームランプを光らせ、止めの光線を放った。
〈エメリウムスラッシュ!〉
「デュア!!」
ゼロの光線で胸を貫かれ、被弾箇所に火花を起こしたケムール人。手を伸ばして仰向けに倒れこんだ。そして最後まで何かを求めるように、天に手を伸ばし続けていると、その体がドロドロと黒く溶けだしていき、跡形もなく消え去った。ケムール人が倒れた場所には、黒く広大な水たまりが出来上がっていた。
ケムール人を倒したのを確認すると、ゼロは空を見上げ、彼方の空へ飛び去って行った。
「今日も、ウルトラマンに助けられたわね」
キュルケがホッと安心しながら一息ついた。しかし、ルイズたちの表情は晴れない。目の前でサイトが、ケムール人によって消されてしまったのだ。つまり、もう…サイトは…。
ハルナは後悔した。今回の結果は自分がサイトに構ってもらいたいがために、いらない意地を張り続けた結果ではないだろうか、と。意地を立った結果、人質にされてしまい、サイトを…!
それを見て、キュルケはやるせない表情を
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