不安-エンザイエティ-part2/解ける誤解
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て入ればいつまでも手に入らない。斥侯を差し向けるのがいいだろうと考えると、クロムウェルが何かをも思い出したのか、話を続けてきた。
「そういえば…今回取り逃がした虚無は、確か我が軍の兵を一名脱出の際に確保していたはず…」
「うちの兵士を一人?」
本来自分たちの敵であるはずの自軍の兵を、獲物である彼女たちが確保しているということが気になったが、すぐに彼女は切り崩すように言った。
「たかが兵士一人どうでもいいわ。でも今回、メンヌヴィルのおかげで虚無を守護する邪魔者を一人消しただけ良しとしましょう。
それに、あのウルトラマンが行方をくらました今なら…逆に『あの作戦』を使うことができるわ」
「了解、では『奴』に出動許可を出します」
「それと、そろそろ彼女の人形が回復し活動再開するはずよ。ウルトラマンゼロのデータを収集するためにスパイロボの準備をなさい」
邪魔者を消し去ったケムール人は、ハルナをルイズとシエスタの方へ突き飛ばす。
「きゃ…!」
三人がまとめて一か所に集まったところで、奴は再び標的を三人に切り替えた。不気味な笑い声にも似た声を発しながら、彼女たちに迫ってくる。
嫌だ…死にたくない。死にたくない!
サイトが目の前で陰も形も無く消滅したショックと、サイトを消し去ったケムール人への恐怖のあまり、身を寄せ合うことしかできない。もはやこれまで、と思った時だった。
突然ケムール人の頭からアツアツのスープがぶっかけられた。
「bu!!?」
蒸気が吹き上がるほどのあまりの熱さに怪人もかなり怯まされ、床の上にすっ転んだ。
「無事?」「はぁい♪」
「タバサ!?それにキュルケまで!」
扉の方からまた新たに表れた人物たち、それはタバサとキュルケの二人だった。レビテーションの魔法でシエスタのスープの鍋をひっくり返したのだ。
「ハルナのことをどう解決するかちょっと様子を見に行こうと思ってたら、さっきミスタ・コルベールが慌てて避難を呼びかけてきたのよ。もしかしたらって思って」
どうやらコルベールの呼びかけが学院中に広まったことで危機を察し、ここまで来てくれたようだ。
「ほら、今のうち!逃げるわよ!」
ケムール人が床の上を転がっている今しかない。もはや仮病がどうこう言っている場合じゃない。とにかく逃げて、誰かに助けを求めなければ。彼女たちはすぐに寄宿舎を飛び出し、走り出した。彼女たちはとにかくあの怪人が怯んでいる間に、助けを呼ぶなり隠れるなりしなければならない。三人はとりあえず貴族用の女子トイレに身を隠した。窓からは中庭の様子が見える。
ちょうどそのとき、ケムール人は寄宿舎の窓ガラスを突き破り、中庭に降り立った。あのギョロギョロとした目で周囲を見渡す仕草に、キュルケは鳥肌を立ちそうになる。
「気持ちの悪い亜人ね…一体何者
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