第2話
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よっ
て選ばれた立派な代表だった。何故、独裁など」
「簡単な話でしょう。ウルムンは国という名の多民族の寄り合いにすぎない。違う民族では同朋意識が薄い。ウルムンという国を守るために、多い数の民族の為に、少数の民族を犠牲にするしかない」
ヤザワは車から見える死体交じりを風景を見ていない。ただどこか遠くを見るような眼をしていた。
「ヒナギもこうなり掛けていました。剣聖ノブツナ殿や指南役セキシュウサイ殿などの力により統一政権を樹立したことで、他の国とも対等に話せる段階まで押し上げることができたのです」
其の目は祖国を見ているのだろうか。
「そうでなければ、強国の搾取に会い、最悪祖国は土地を切り取られていたことでしょう」
「その代わり、お前みたいな武士達が外に流れることになったわけか」
言の葉の刃がヤザワに突き刺さる。彼は不快そうに顔を顰めた。
「否定はしませんよ。お家お取りつぶしや戦が無くなった事で、拙者達は外の世界に逃げるしかありませんでした」
「誰もが幸せになることは決してあり得ない。というわけか」
「そういうわけですよ」
車の前方に視線を移しながらヤザワの話が続く。
「だからこそ、この国の不運や貧困は彼等自身の問題でしかありません。拙者たちが思い悩むことでもないのです」
ヤザワのどこまでも冷たい理論だった。
くだらない雑談も終わる。車の前方に山脈の地肌とそれを囲む村が見えてきた。
「あそこが目的地の」
「ああ。デリラ山脈の麓だ」
数分もしないうちに村の入り口に差し掛かる。
そこで武装した二人の男が門番をしていた。車の前に立ちはだかる二人。その真ん前で車は止まる。
「死の山であるデリラ山脈に何の用だ」
車の横で武装した男が、二人を問いただした。余計なことをしたらすぐに吹き飛ばす、といわんばかりに、魔杖剣を構えている。
二人は目を合わせ、すぐに男に向き直った。
ヤザワがガユスを指さした。
「ドーモ。こちら生物学者のガユシ氏です。私は護衛のヤレルです」
「ドーモ。デリラ山脈の毒虫に固有の生態をした物が居ると聞きましてね。その調査に参りました」
最初から決めていた口説を始めた。
笑みを崩さない二人を、武装した男は硬い表情のままねめつける。
しかし、腰の刀に手を置いたままのヤザワに視線を送ると、一歩下がった。相手が自身ではかなわない、高位咒式士であることに気付いたのだろう。
「我々の仲間が、デリラ山脈で行方不明になっている。もし見かけたら救助願いたい。無論報酬は出す」
「了解しました。見かけたら、助けておきますよ」
門番が横にひいて、入り口が通れるようになった。車を走らせて、デリラ山脈を登っていく。
二人が去った
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