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喧嘩
8部分:第八章
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はわからない。それで考えているとだった。
 その二人が話しだしたのだった。これまた実にいちゃいちゃとした様子でであった。
「もう、凄いんだから」
「美奈こそな」
 そのいちゃいちゃとした様子でにこにこと話している二人だった。
「あんなことあんな場所でするなんて」
「けれど誰も見ていないからいいじゃないか」
「そうね」
 こんな話をする二人だった。皆それを物陰から聞いていてまた言うのだった。
「これってまさかね」
「そうよね、あれね」
 この『あれ』という言葉でもうわかるのだった。そこにいた全員が。
「あれやったわね」
「間違いなくね」
 皆また二人を見ながら言い合う。
「あれは絶対に」
「何ていうか。野獣じゃあるまいし」
「けれど何でなんだ?」
 ここで男の一人が腕を組んだうえでいぶかしんで言うのだった。
「さっきまであんなに仲が悪かったのに急にな」
「だからあれでしょ?」
 しかしここで女子の一人が言ってきた。
「喧嘩する程ってやつよ。だからあそこまで喧嘩したのよ」
「そうか?」
「それか?」
 しかし皆その言葉には今一つ、いや今二つか三つは納得できない顔でいぶかしむのだった。
「っていうかあんなに仲が悪かっただろ?」
「それで急に仲が戻るって何なんだよ」
「しかも屋上でしたよね」
「そうそう」
 このことも話される。
「それはどうしてなのかしら」
「喧嘩していたのは何よ」
「あれよ。お互い言いたいこと全部言い切ったからよ」 
 さっき話したその女子がここでまた言うのだった。
「それでお互いすっきりしたのよ。言いたいことを全部言ってね」
「それで仲が戻ったのね」
「そうだと思うわ。時と場合によっては言いたいことをそれぞれ言い切る」
 こうしたやり方があるのも事実だった。人間の仲、それも恋人同士ともなると一筋縄ではいかない。そこには何かと複雑なものがあるものである。
「そうしたら落ち着いてもやもやしたのも消えたんでしょうね」
「それでなのね」
「ええ、そういうことだと思うわ」
 彼女はまた語る。
「まあ原因が何かは知らないけれど」
「とりあえず言いたいことは言い終えたからなのね」
「だから仲直りできたの」
「でしょうね。まあ仲直りして何よりよ」
「そうね、それはね」
「確かにね」
 皆このことは素直に喜ぶことができた。まずはそれは間違いなかったからだ。
「じゃあ明日からは平和な学園生活の復活ね」
「何はともあれな」
「さて、それじゃあ明日は」
 皆ほっとした顔になって笑顔で言い合うのだった。
「楽しい学園生活を楽しみましょう」
「皆でね」
 こう言い合って屋上へと向かう階段を逆に降りて普段の校舎に戻るのだった。何はともあれ二人は仲直りして穏やかな生
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