第二十話
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りとした歩調で目的地まで歩いて行った。
目的地ーーーこじんまりとした店の前で立ち止まると、リュウヤは小さく息を吸ってからドアを開いた。
カランカラン、と入店を知らせる鈴の音を鳴らしながら敷居をまたぐと、ただ一人いた客から声がかかった。
「よォ、遅かったナ」
声の主は、フードケープをかぶり、両ほほに三本線のペイントをつけた女性プレイヤー。
言わずと知れた情報屋、《鼠》のアルゴだ。
リュウヤは呼ばれたテーブルに向かい、イスにどかっと腰を落とし、てきとうに飲みものを頼んだ。
「うっせ。こちとら連戦明けなんだ。ちっとは労われよ」
「そんなことされても嬉しくないくせニ。顔見れば分かるサ。………失敗、したんだナ」
「………………」
「でもナ、これだけは覚えとけヨ。お前はそうするしかなかったんダ。だからーーー」
「分かってるよ。………わかってる、言われなくてもな。
NPC(あの娘)を助けたいってのは俺の私情、エゴだ。でもヤツに取り込まれた以上、助ける術はなかった。そこは割り切ってるつもりだよ」
「その顔は割り切ってるヤツの顔じゃない、って言っていいカ?」
「もう言ってんじゃねえかよ。
まあその話は置いといて………ほれ、今回の分だ」
「ありがたく頂戴するヨ。
と・こ・ろ・で、アーちゃんと仲良く二人でなにしてたんダ?」
「なんだよ見てたのかお前」
「圏内に入ってきた時カラナ。で、なにしてたんダ?」
「お前がニヤニヤしてるようなことはしてねえよ。バッタリ会って、成り行き上仕方なく一緒にいただけだ」
「ハイハイそこんとこ面白くないよナ、リュウ兵ハ。ジャア、問題を変えル。アーちゃんに見られて良かったのカ?」
「バレちゃいねえよ。大方クエストと勘違いしてるだろうからな。あとでムチャなクエストを一人で受けるな〜とか小言もらうだけだ」
「それならいいケド。リュウ兵から他には黙ってロって言われたのにリュウ兵からバラしてちゃ意味ないカラナ」
「そこんとこは感謝してるさ。危ない橋渡らせて悪いな。それじゃあ俺は行くぞ。疲れて仕方ねえんだ。じゃあな」
話し終わると同時に来たジュースを一気に飲み干すと、リュウヤは立ち上がってその場をあとにした。
残ったアルゴは窓の格子から見えるリュウヤの後ろ姿を見て、ため息をついた。
「危ない橋渡ってんのハ、リュウ兵の方ダロ………」
「たでーまー」
「おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも〜、わ・た・し?」
「メシ」
「朝だもんね。お風呂はないか」
「常時お前って選択肢もないからな」
「あら、そんなことないんじゃない?私は別に朝からでもーー
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