暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第二十話
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
そんな拍子抜けみたいな顔してんの?」

「え?そんな顔してる?」

「んん〜、ちょっと違うかな。だいぶ力が抜けてる」

「そりゃあ、一日だけでこれだけあれば力だって抜けるわ」

「まあそれもそうだが………まいっか。言わなくても」

「な、なによ。気になるじゃない」

「気にすんなって。それにほら、見てみろよ。あっちの方がスゴイぞ」

「なんなのよーーーあっ」

リュウヤが指さした方を見れば、そこには幻想的な光景が広がっていた。

インスタンスマップとして出現していた村が、光点と化しながら消えていっているのだ。
赤、青、緑に紫やオレンジ、白など多色に渡る光の球は上空へと消え去っていく。

それだけでも十分なのに、今の時刻、夜明けという時間帯も相まって、夜に消える夢物語のような風景を醸し出していた。

やがてその現象はアスナたちがいる森にまで侵食してきていた。

「うわぁぁ………キレイ………!」

「大物を連続撃破したご褒美ってとこか?案外気が効くじゃん」

アスナは光球に手を伸ばして笑顔を見せ、リュウヤは片手を腰に当てながら小さく笑っていた。

二人してその光景に浸っていたが、それも終わりに近づき、やがて全て消え去るとともに数時間前に逃げ込んだ安全地帯へと戻っていた。

「さ、これで帰れるな〜。朝んなったからうぜえオオカミさんもいないし、楽に帰れる」

リュウヤはググ〜ッ、と背筋を伸ばすと淡々とした表情で歩き出していた。
アスナは慌ててそれについていく。

「ちょ、ちょっと待ってよ。ーーーていうか、もう少し余韻に浸ったらどうなの?あんなにキレイだったのに」

「気持ちはわからんでもない。あんなのこの世界でも簡単にはお目見えできねえだろうしなぁ。良かったな、見ることできて」

「リュウヤは淡白すぎると思うんだけど」

「ハイハイ悪うござんしたね〜」

「全然反省してないでしょ……」

そんな軽口を叩き合いながらリュウヤとアスナは赤い陽をさす朝日を浴びながら帰り道を歩いて行った。


アスナは一つ大事なことを忘れていた。
リュウヤにとって、大事なことを………。







フィールドから圏内へ到着するとリュウヤは少しアスナとしゃべった。

「あの件は、ひとつ貸しってことにしておいて」

「一つ言うことを聞く」と言ったことに関してはその一言で片づけ、

「あと………その………ありがとう」

小さくそう言うと「そ、それじゃあね!」となにかに急かされるようにアスナは帰って行った。

照れなくてもいいのに、とリュウヤは苦笑しながらまだ朝早く、人通りが少ない街を歩く。
あてがないわけではない。
リュウヤは迷うことなく、しかしのんび
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ