第二十話
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………………。
…………、
……うっすらと光が差し込む。
朦朧とした意識は記憶のない時間を思う。
…………寝てたのかな。
いつも重い体が少し軽い。
…………そういえば……夢……見なかったな。
毎夜うなされているというのに、なぜかその悪夢を見ることはなかった。
というか、いつの間に眠りについたのだろう。
そういえば今宿にしている場所まで帰った記憶もない。どうやって眠りについたのかも覚えてない。
この場所についてもそうだ。空き家のように荒んだ壁や天井。木製の床は所々ささくれが目立つ。
アスナが寝ていたソファの近くにある焚かれた暖炉が部屋を暖めている。
まるでここで休憩を取っていたみたいに。
ならなぜ、そんな必要があったのか。
ここへ来た目的はーーー
「ーーーっっ!!」
ようやく覚醒した意識が、眠りに落ちる前の状況を思い出すとアスナはすぐさま宿代わりにしていた家を飛び出した。
外に出て見えた風景はここへ来た時と変わらない。ボロボロになった家々から廃村の空気が漂っている。
しかし6時の方向、転移した場所とは真逆の方向に位置する森の方からモンスターの遠吠えらしき音が響いてきた。
かなりの距離があるはずが、耳を澄まさなくても聞こえる。それはつまり戦闘が行われているということ。
誰かなんて明白だ。ここにいないあの男に決まってる。
それを瞬時に判断するとアスナはすぐさま駆け出した。
何かに襲われたような爪痕を残す村を駆け抜け、時折襲う揺れに不安を抱きながら森へと侵入する。
暗い闇の森を疾走すること数分、開けた地形を発見するとともに二つの影を確認した。
一方は大型の槍と巨躯を持って、小さき者を圧倒しようとする者。
一方は片手に同じく槍を持ち、体躯を駆使して相手を翻弄する者。
両者は一歩も引かずに剣戟ーーー否、槍戟を交わし続ける。
そしてアスナは、その小さな挑戦者へ叫んだ。
「ーーーリュウヤ!!」
「おっ、もう起きちゃったの?早いな、あともう1時間は行けると思ったんだけど」
《ザ・ルー・ガルー》の攻撃をいなしながらリュウヤは軽口を叩く。
その態度にアスナは畏敬を通り越して、もはや恐怖を感じざるをえなかった。
なぜなら彼は、《ザ・ベナンダンテ》より強敵であるモンスターを相手に一人で立ち向かっていたのだ。
その時間ーーー4時間。
「お前が寝てから起きるまでの間に片づけようとしたんだけどなぁ〜。まあ間に合わないよ、ねっ!」
人狼の上段からの振り下ろしを単発ソードスキルで弾きながら、リュウヤは可笑しそうな笑みを見せた。
しかしその表情とは裏腹に、彼自
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