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衛宮士郎の新たなる道
第13話 野獣の狂宴
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竜兵だ。

 「滾っがほっ!!」

 それを士郎は、何時もより強めに鳩尾に正拳を打ちこむことで、迎撃して気絶させた。

 「・・・・・・・・・・・・・・・疲れた」

 それがこの下らない戦いを終えた後に、士郎が最初に発した言葉だった。
 だが、魔力が発生していた事も事実なので、ある程度調査しながら警察と病院に連絡した。
 しかし、竜兵だけはこのまま連れ帰っても大丈夫だろうと判断して、板垣家に連れ帰った。
 お姫様抱っこで。
 だって、おんぶで連れ帰ってる途中で意識を取り戻されたら、後ろから襲われるもの。
 だが士郎は気付けなかった。
 この態勢で板垣家へ竜兵を連れ帰ると、それを見た亜美と天から『士郎が男に目覚めて竜兵と恋仲になった!?』と、誤解された。
 そしてその誤解を解くのに、更に疲れる羽目になった。


 −Interlude−


 士郎がそうして気苦労をしている時、具象奇体は先程とは別の地点にいた。
 士郎が投影魔術を行使する前に、とっとと退散していたのだ。
 とは言っても、ガイアの制限による強制だが。

 『・・・・・・フフフ・・・フフ・・・』

 それでも具象奇体は気持ち的に、ほくそ笑んでいた。
 ガイアの強制が緩む日を虎視眈々と待っていて、そして今日遂にその日を迎えたら、今迄とは精度が低く態と魔力が漏れるようなお粗末な結界を張って魔術師に気付かせる目論見に成功したのだ。
 妖術師としてあんなお粗末なものは問題外だが、今の彼女(・・)は兎に角自分を魔力集めに強制させて上で、ある英霊を召喚させて操ろうとしていることが気に入らないのだ。
 兎も角、思惑は一応上手くいった。
 これにより、ガイアに一矢報いれれば御の字と考えているのだ。
 けれど彼女はこうして魔力集めに駆り出されている間もある事が気になっていた。

 (ガイアに遠回しの手順を踏ませるなど、一体誰だ?いや、誰がこんな事(・・・)が出来るのだ?)

 ガイアの世界に干渉する力は世界に応じて違うが、それでも代理人の戦闘力に関連する魔力によるバックアップは相当なモノ。
 それをかなりの制限をするなどと、根源の渦に至った魔法使い達ですら厳しいものだ。
 その正体に彼女は興味が尽きないでいた。
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