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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第十九話 歪みの吐露
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。見てて飽きない」

「褒められてる気がしないんですけど!」

「褒めてる褒めてる」

憤慨するアスナを、片手をひらひらさせながら諌めると、リュウヤの笑みが少し苦いものに変わっていた。

「………まあお前が忙しいのは俺の責任でもあるからなぁ。迷惑かけてることは謝るよ」

「??? なんのこと?」

「……いや………なんでもない。ーーー話戻すけど、ようはお前、時間がないから俺の案が受け入れられないって言うんだろ?」

発言の意図も分からず、聞いてもはぐらかされてしまったのが引っかかるが、アスナは今はそれを頭の隅に追いやった。

「そういうこと………になるかな」

「なら時間さえ作れればいいんだろ?なら俺が作ってやる」

「え、えぇ?確かに時間が空けばお昼寝もできるかもしれないですけど、そうなってもわたし攻略に出かけると思うんですけど………。それにまず、どうやってわたしの時間を作るんですか?」

「そこはほら、企業秘密よ。だが確実に時間は作れる。
そこから先はーーーま、昼寝はしなくていいさ。お前が思うままじっくり羽を伸ばせ。それは最低条件だ。
羽を伸ばすことが攻略することなら止めはしない。あまりオススメはしないけどな」

どうやらリュウヤが伝えたいのは、「とりあえず休め」ということらしい。

ーーー“休む”なんてこと、考えたことがなかった………

ずっとーーーずっと動いてきた。
一刻も早く《この世界》から出たくて。
無意味に、残酷に過ぎていく時間を敵に回して、広がる現実との穴を埋めたくて仕方がなくて。

だから攻略に挑んだ。なりふり構わなかった。
睡眠さえ邪魔だと思って、寝られないのは好都合だと言わんばかりに自分の状態を見て見ぬ振りをして。

だから、だからーーー

「………少し、考えておきます」

さして興味があるわけではなかった。
今の生活の質を向上させられるかも知れないという打算的な考えだった。
だから、そう答えたはずだ。

けど、本心は違った。

それを認めれば、今まで自分が取ってきた行動がまるで滑稽のように思えてしまうから。
そう簡単に自分の中にある信念を曲げられない。
たとえそれが歪だったとしても……。

ーーー今は、まだ……。

「ま、それでこそ………だよな」

言って、リュウヤの見せた笑みはアスナの言葉を額面通りに受け取ったものか、それとも本心を見抜いてのものなのかは分からなかった。

「じゃあとりあえず頭の片隅にでも留めておいてくれーーーつって終わるわけにも行かねえんだなコレが」

だが、“なにかを企んでいる”ということだけは分かった。
アスナは少々身構えながらリュウヤの発言を待つ。
その態度をリュウヤは苦笑して対応し
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