第十九話 歪みの吐露
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だった。
アスナは無言で、けれど納得も理解もしたという意味を込めてこくんと小さくうなずいた。
するとリュウヤはにこやかに笑って、
「ありがとな」
と、本当に珍しく直接対面で礼を述べた。
だがそれが恥ずかしかったのかすぐにいつもの調子に戻り、
「お、な〜んか落ち着いてきたんじゃない?これは完全に俺のおかげだよな!」
「ち、違うわよ!」
とっさに反論してしまったが、言われてみれば先ほどよりは気分が楽になっている。
リュウヤの意外な言動や、それに含まれたアスナに対する真摯な姿勢に気を取られたこともあって、荒れ狂った心にはいつの間にか晴れ間が見え始めていた。
「ま、ちっとは回復してきたみたいだし、ちょっと言わせてほしいことがあるんだが」
いいか?と目線で訴えられ、アスナは少しおののいたものの続きを促した。
「お前さっき寝れないって言ってたろ?それ、どうにかできる方法を教えてやる」
「…………本当に?」
「ああ、本当だとも。効果は俺の折り紙付きだ。今から言うことさえ聞いてりゃ寝れるはずだぜ」
ぐっ、と親指を立てドヤ顔を決めてくるリュウヤほどうさんくさいものはないのだが、それを言うと怒られそうなのでアスナは黙ってーーーしかし疑惑の目を持ってーーー続きを聞いた。
「これはな、人類が発明した至高の技術の一つでな?あらゆる人類がそれにすがってしまうという、麻薬以上に依存性のある代物だ」
最もらしいことを言うリュウヤの大げさな口調と芝居にアスナの疑いは深まる一方だ。
「………それは何ですか?」
「よくぞ聞いてくれた。これぞ至高、これぞ高尚!
それすなわちーーー《OHIRUNE》!!」
「却下です」
「即答!?」
やけに驚くリュウヤに、何もわかってないというようにアスナは小さくため息をこぼした。
「あのですね、これでも忙しいんですよ、わたし。やらなきゃいけないことがたくさんあるんです。そんな時間あるわけないでしょう?」
要約すれば「あんたバカァ?」という文句を突きつけたのだが、リュウヤは応えることなく、むしろ笑って返答した。
「って言う割にはこんなとこについてくる時間はあるようですけど?」
「こ、これは仕事の一環ですっ!」
「まだその設定引きずってんの?俺、それさっき説明したじゃん。別に荒らしてるわけじゃないって。
あとそろそろ意地張んのやめようね?そういうところ治さないからこんなことになってるんだよ?気づいてる?」
「うぅ〜〜〜!」
揚げ足を取られ、さらにそれを原因に追い詰められ頬を膨らませることしかできないアスナのかわいらしい声が響く。
リュウヤはその様子を見てカラカラと笑う。
「おっもしれぇなぁお前
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