第十九話 歪みの吐露
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、追ってくる人の手がこっちに伸びてきて………。
その手に触れられる瞬間に目が覚めるんです。もう一回寝ようとしても、息切れとか、動悸で胸が苦しくて寝れなくて………気づいたら朝、みたいな……」
話しているうちに、だんだんと夢の感覚が寒気のように出てきて、アスナは小さく自分の身体を抱きしめていた。
視線もいつの間にか床へと向けられていた。
すると、突然視界を覆うなにかがふわりと被せられた。なにかと思い触れてみると、それは毛布だった。
そう気づいて、毛布をかけたであろう本人のリュウヤに視線を向けると、リュウヤが口を開いた。
「で、それが堅苦しくなったお前とどう繋がんの?」
「………え?」
「え、じゃねえよ。なんか繋がってんでしょ?ほら、言ってみぃ」
先に毛布のお礼を言うべきかどうか迷ったものの、急かされるままにアスナは答えることにした。
「最初………一層であの人ーーーキリトくんとあった時からしばらくはそんな夢見なかったの。
でもキリトくんが下層に行ってるって知ってから、なんかおかしくなっちゃって………。
一緒にクリア目指して頑張ってるんだって思ってたのに………この人は違うんだって、結局本気でここから出たいわけじゃないんだって思ったら、もう……わけがわからなくなっちゃって……………」
これは誰にも話したことのない話だ。
加えて、感情はあったもののこれまで言葉にすらしなかったものを初めて口にした。
吐き出た言葉は今の感情に的確なものではないかもしれない。それでもーーー。
今まで止めていたものが、ダムが決壊するかのように溢れ出し、濁流となって流れていく。
だからなのか、アスナは途中から涙が出てきそうになった。
抑えることを忘れた歯止めの効かない感情の吐露。答えにならない答えに、リュウヤは納得したように“苦笑”した。
「あ〜………つまりあれか。原因は俺にもあるのか……」
ポリポリと頭をかきながら、リュウヤは珍しく“予想外”というような表情を見せた。
あまり見ないーーーというか片手の指で数えるほどしか見たことのないリュウヤのその表情に、アスナは負の感情が一瞬吹き飛ぶほどに驚いた。
こっちに飛び火するとは思わなかったなぁ、などとぼやくリュウヤは頭をかく手を止めて軽く頭を下げた。
「つうことで、すまん。それについては俺にも非がある。謝る」
だがな、と下げた頭をゆっくり上げつつ、叱られた子どものような顔でリュウヤは続けた。
「言い訳………になるんだけどさ、聞いてくれ。あいつにも………俺にも、必要なステップだったんだ。詳しくは話せないが、それだけはわかってほしい」
最後の一言に込められた真摯さ。
それは彼の目にもありありと映っていて、紛れもなく「彼の言葉」
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