第十九話 歪みの吐露
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たら普通にわかんぞ?」
なんでそんなに驚くのか分からないと言ったように寝転んだ態勢のまま、リュウヤは器用に小さく肩をすくめた。
「今日なんか特にそうだろ。剣筋にキレがなかった」
「そ、そんなことで…………」
「それに、今日のお前は情緒不安定すぎる」
「うっ…………」
「いきなり怒鳴ったり、散々喚き倒したと思ったら今度は暗い顔して黙り込んだり、ガラにもねえこと口にしたりさ。いつもの仏頂面より不気味だったぞ」
「だ、誰が仏頂面よ!」
「おぉ〜う、怖い怖い」
最後の一言にはモノ申したものの、言われてみれば確かにそんな感じだった、とアスナは思う。
リュウヤの一言一句に振り回され、制御の効きづらい感情が渦を巻いていた。
それが放出されていたのは寝不足だったからだろうかーーー
…………いつもそんな感じじゃない?
この男を相手にする時、自分が平静でいたことがあったかとアスナが自問し始めると、リュウヤがニヤリと笑みを浮かべながら、
「なにより、あの《閃光》様が男と二人で密室にいるってのに気ぃ抜いて寝そうになったりとかしてるんだ。誰だってそう思うーーーいって!?おいコラ物を投げるなってァガッ!?」
「〜〜〜〜〜っ!」
リュウヤが寝そべっているのをいいことに、アスナは手当たり次第に近くにあったものを全力で放り投げる。
投げるものがなくなるとリュウヤから距離を置いた。
「へ、変態!スケベ!チカン!」
「口より先に手が出るとは、さすがですね……」
アスナの猛攻から解放されたリュウヤはソファから首を落としうなだれながらそう言った。
「ま、それはそれとして」と言いつつ、リュウヤは起き上がってソファに座りなおす。
「なんで寝ようとしないんだ?寝れない理由でもあんのか?」
「そ、それは………」
「い〜からいいから、お兄さんに話してみそ」
優しく微笑みかけてくるリュウヤ。
つい数時間前にも聞いた同じセリフを聞いた。
けれど不思議なことに、その時とは違って不快感はなく、気づけば口を開いていた。
「…………別に、眠れないわけじゃないんです」
視線はどこを見るわけでもなく、両手を組んで、ぽつり、ぽつりとーーー
「………ちゃんと眠りにはつけるんです。けど………数時間くらいたってから眼が覚めるんです」
「……なんで?」
「夢を、見るんですよね。その夢の中でわたしは追われてるんです。でも追ってくるものーーーあれは人なのかな、その正体は分かんないんですけど、複数の人が追いかけてくるんです。
ソレから逃げようとして、走って走って、とにかく走って。でも急に動けなくなるんです。まるで道が塞がれたみたいに。
それでも逃げようとするんですけど
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