第十九話 歪みの吐露
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ちの良い気温になっている。
心地よく感じてきたアスナが船をこいでいると、そんなアスナを見て、寝転んでいたリュウヤが苦笑をもらした。
「な、なによ……」
「いやいや、《攻略の鬼》とまで言われた《閃光》様がこんなお気楽だとは思わなくてね」
ははっ、と笑いながら言うリュウヤに、実際気が抜けていたアスナはなにも言えず、羞恥を隠すように全く別の質問を返していた。
「そ、そういえば、あなたの武器のこと、教えてもらえなかったし、教えてよ」
「ああ、そういえばそうだったな」
思い出したといった顔をしながらリュウヤはストレージにしまっていた武器を取り出した。
暗いところで見ても全体的に赤かったが、やはり明るいところで見るとその赤みは一段と引き上がっている。
「これは槍の一種、《方天戟》ってやつだ。
その中でもここの………ほら、穂の下に片っぽだけ三日月状の刃があるだろ?こういうのを《方天画戟》って言うんだ。
聞いたことあるだろ?」
「は、はぁ………三国志で有名なかの名将、呂布が愛用してた武器、でしたっけ?」
「お、なんだ、三国志いける口か!?」
「し、知りませんって!歴史の資料集にあったのをチラッと見ただけで………」
「なんだよ………、てか、チラ見だけで覚えてるとかすげえな」
引き気味に苦笑しているリュウヤを見て、このままではリアルの話になりかねないとアスナは思ったが、アスナが口出しする前にリュウヤが話を戻した。
「まあ武器の話はこれくらいでいいだろ。
さっきの話に戻るが、休める時に休まなきゃ身体っつか、心も持たねえからな。
気が抜けるのも、別に恥ずかしいことじゃないさ」
「…………そうね」
「やっぱ仮想世界でも疲労ってのは蓄積されるからなぁ。休み取っとかないと、いざって時に動けなくてうっかり死んじゃうし」
「そんなの言われなくても分かってるわよ。だからみんなちゃんと休息は取ってるわよ」
「そうだな。でもーーーお前は違うよな?」
ピクリと、肩が跳ねる。
リュウヤの声音が、ほんの僅かに変わった。
アスナは暖炉に向けていた視線をリュウヤにやると、いくらか真剣味を帯びた顔つきのリュウヤがアスナを見ていた。
その誤差にアスナが気づいたのは、敏感だったからではない。心当たりがあったからだ。
そしてリュウヤはその核心を突く。
「お前、いつから寝てない?」
「ーーーッ」
思い切り急所を穿たれた、そんな感覚がアスナの身体を襲い驚愕が身を染める。
それは、リュウヤはもちろん、誰にも話してない、誰にも知られていないはずのことだ。
そんな心情はもちろん表に出てきてしまっていて。
「そんな驚くことかぁ?見て
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