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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第十九話 歪みの吐露
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た。

「そんな変なことしねえよ。ちょっとマッサージするだけだ」

言うとリュウヤは立ち上がり、アスナの前で片膝をついた。

「ほら、足出してみ」

「……………」

「なんでそんな変態を見るような目で見るの?お兄さん泣くよ?別に素足出せなんて言ってないじゃん?普通に足を出してって頼んでんの」

「………なにをするんですか」

「だぁかぁら、マッサージだっつってんでしょこのおバカ。戦うときに疲労溜まってると困るの、わかる?」

「別に疲労なんて溜まってません!」と言えたらどれだけ良かったか。けど今のアスナはどの口を開けてもその言葉は言えなかった。

女性の脚を触るなど、と反論してもいいのだが、戦闘に支障が出るというリュウヤの文句がアスナの矜持を脅かす。

最後の抵抗として最大限イヤな顔を前面に押し出しながら、アスナは渋々両足をリュウヤの前に出した。

「ホントはくつ脱いでもらった方がいいんだけどなぁ〜」

チラっチラっ。

「………脱げばいいんでしょう」

「ありがとうございます、お嬢様」

「だからそれやめてって言ってるでしょ」

「へいへいスンマセンね」

そっけなく返された謝罪に納得いかない様子のアスナだったが、それを無視してリュウヤはマッサージを始めた。

痛み全般や肩こりなどの血流の悪さが招く症状などは全て再現されていないこの世界で、マッサージなど何の意味があるのかとアスナは思っていたのだが、

(…………あっ………気持ちいい………)

ふくらはぎや足首、足裏までを丁寧に優しくほぐすように指圧を加えられていて、痛みがない分妙に気持ちいいのだ。

無言でマッサージを続けるリュウヤに、気持ちよくて力が抜けているアスナ。

その状態が数分続いたが、不意にその静寂をリュウヤが破った。

「気持ち良さそうでなによりだが、ここで一つお知らせだ」

何かと思い、アスナは身を預けていた背もたれから起き上がろうとする。

しかしなぜか身体全体が重く、力が入らない。

「ああ、心配すんな。何かしたっちゃしたんだけど、拘束とかそういうんじゃねえから」

アスナが症状を自覚した瞬間浮かんだ危惧をすぐに否定するとリュウヤは立ち上がりにこりと笑みを浮かべた。

「俺がしたのはちょっとした細工みたいなもんだ。すぐに起き上がれるようになるから安心しな」

言っているリュウヤの声が、顔の輪郭が、段々とぼやけ始める。

「そろそろ、かな………。じゃ、最後に一言」

薄れゆく意識の中、アスナはリュウヤの最後の言葉を聞く。

「Good night 良い夢を」












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