暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第十九話 歪みの吐露
[1/11]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話









邂逅一閃。

リュウヤの槍が、オオカミのツメが、光をまとって唸りを上げる。

交錯する各々の武器。そしてーーー


ザシューーーーーーパリィィィィィン。


「へへっ…………俺の、勝ちだ」

貫いたのはリュウヤの槍。
オオカミのツメは一歩届かず、彼の数センチ前で止まってしまった。

HPが0になった《ザ・ベナンダンテ》は派手な音を響かせながらポリゴンと化して消えていった。

降り注ぐポリゴンの雨に打たれながら、リュウヤはアスナの元へと足を向けた。

「お疲れ〜。いま何時?」

「………11時半よ」

「ん〜、とすっとだいたい3時間くらいかぁ。キツかったなぁ」

あっはっは、と笑うリュウヤ。

つい先ほどまで死と隣あわせの戦闘をしていたにも関わらず、のんきなものだとアスナは呆れていた。

そのアスナと言えばーーー

「疲れたっつってもまだ仕事は残ってる。立てるか?」

極度の緊張感から解放されたからか、アスナは膝を折って座り込んでしまっていた。

正直こんなに疲れたのは50層のボス戦以来だ。
あれほど辛かった戦闘は他に数えるほどしかない。

けれど、それ以上にアスナの心を支配していたのは悔しさだった。

こんなにも疲労困憊だというのに、アスナ自身はなにもしていないのだ。
ただ後ろの方で、攻撃回避とカウンターを仕掛けるだけで前衛には一度たりとも出ていない。

それでも《ザ・ベナンダンテ》を倒すことができたのは、ひとえにリュウヤの戦闘技術あってのものだ。

彼のそれは、もはや畏敬などという言葉では収まらない。一周まわって呆れささえ感じる。

長時間の戦闘だというのに休憩を一切取らず、フィールドボスにも匹敵するだろう大型モンスターをほぼ独力で倒したのだ。

そして口では言っているが、彼の様子に疲労の色はあまり見えない。アスナより死のプレッシャーがあったというのに。

自分はなにもしていない。
そんな思いがアスナの四肢に力を入れさせた。

「立てます……。それで、なにをすれば?」

差し伸べられていた手は掴まず、アスナは一人で立ち上がった。

素直じゃねえなぁ、とリュウヤは苦笑しつつ、本題へと入った。

「お前はあの祭壇の上に寝てる人を連れてきてくれ」

「………それは、わたしがする必要があるんですか?」

「あるある、ありますとも。お嬢様はそんなご状態ですので私めが他のモンスターが湧出(ポップ)しないか警戒しなければいけませんし?理に適ってると思いますが?」

「分かりました。………けど、その言い方やめてください。刺しますよ」

「はいはーーーって、おっそろしいことサラッと言わないで!?本気じゃな
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ