第十八話 ミッション開始
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アスナには自分ですら理解できないのだ。
ただ、今この場を、彼のとなりを離れることはいけないのだと自身の直感が訴えてくる。
だから、二重の意味で取りたくなかった手段を使うことを決めた。
「……いいえ。わたしの話を聞いてくれるまで帰りません。あなた自身が聞いてくれると言ったんです。まさか、男に二言なんてありませんよね?」
アスナ自身気づいていないが、葛藤の末の決意であることがその話す口調に如実に表れていた。
しかしアスナの瞳には確固たるものが宿っている。
だがその瞳の奥の方に隠れている不安の揺らぎを、そしてほんの少しだけ手が震えているアスナの様子にリュウヤが気づかないハズもない。
ーーーのだが、
「それもそうだな。んじゃ、俺のあとしっかりついてこいよ。ハグれても知らんからな?」
なんともあっけなく、先ほどまで頑なに帰らせようとしていた態度が霧散した。
「え?……いいんですか?」
つい、思わず、といったようにリュウヤに問うアスナを、リュウヤは肩をすくめるも笑って、
「いいわけあるかよ。でもどうせ俺の言うことなんて聞かないんだろうし、ここで時間食うのもアレだしな。
それと、よしんば帰ってくれたとしても、そのフリだけして跡をつけてきたりとかしそうだし?
なんなら最初から近くにいてくれた方が楽なんだよ、精神的にな」
リュウヤの言い分を聞きながら、アスナは違うことを考えていた。
(そっか、帰るフリするのもアリだったんだ)
と、感情に身を任せて、反論することだけに意固地になっていて冷静な判断を下せていなかった自分を反省していた。
反省は大事なことだが、リュウヤの心情的にはその反省は要らないだろう。
それは置いておいて。
内心で自分の行動の反省をしていると、リュウヤが言葉を続けた。
「ただし、条件はつけさせてもらうぜ?」
「条件?」
「そそ。条件は3つだ。
まず一つ、その首飾り(アミュレット)は装備しておくこと。
次に、戦闘時を除いて、俺の前に出ないこと。
最後に、俺の指示には従うこと。
これらの条件がのめないんなら、問答無用で帰らすからな」
一本ずつ指を立てながら条件を述べたリュウヤ。
その条件に、アスナはなんら抵抗を覚えることはなかった。理由はオオカミたちから逃げた時と同じだ。
素直にこくんとうなずくとリュウヤは「ならよし」と言った。
「ほんじゃあサクッと移動しようか」
時間無いし、と言いつつ、リュウヤは《安全地帯》の中央へと足を向けた。その先には、リュウヤの膝丈くらいの小さな鳥居が三つ建てられていた。
それらの一歩手前で止まると、システム窓を開き、アイテム欄をスクロール、目当てのアイテムをタッチし自分の手の
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