第十八話 ミッション開始
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はあるか?」
「ーーーーーーッ!」
背中にピリッとした緊張が走る。
意図せずとして息を呑んでしまうほどに。
アスナが感じたのは恐怖やプレッシャーではない。ただの迫力である。
彼の素の口調、素の態度からもたらされる彼の地の迫力だ。
アスナは、彼のありとあらゆるすべての地盤を、一瞬だが垣間見た気がした。
「ほら、どうなの?」
単純な疑問のように聞こえる問いかけはしかし、そうであるはずがない。必ず試されているはずの問いだ。
言葉を慎重に選ぼうにも、それでは彼は納得が行かないだろうし、そもそもそんなこと彼の前では無意味だ。
だからアスナは思ったことを素直に口にした。
「……あります。これでも最前線で戦っているんですから、当然です」
少々言葉がつまったのは愛嬌としてくれるだろうか。判定を待つアスナの顔に、汗が流れた気がした。
「あ、そう。なら帰んなさい」
だが、アスナのその表情をあざ笑うかのように。
アスナの回答は不正解とでも言うように。
アスナの予想した返答を裏切るように。
リュウヤは「ばいば〜い」と手を振りながら言った。
「な、なんで?わたしの覚悟はそんな弱いものじゃないのよ!?」
納得が行かない。全くもって理解不能。
正解も分からない。何がダメだったのか分からない。
それらが合わさって、アスナはリュウヤに食い下がった。
だが、リュウヤはそれでも良しとしない。
「ダメダメ、嬢ちゃんは帰んな。こっからは『俺』の領域だ」
「それはわたしが入ってはダメなの?おごるつもりはないけど、レベルだって技術だって申し分ないでしょう」
頑なに食い下がるアスナ。リュウヤは肩をすくめて言った。
「あのな……本気かどうかは知らんが、『死ぬ覚悟』がある奴なんて、連れてくわけにいかんだろうよ」
自分の答えが、正解とは真逆だったことに驚くアスナをおいて、「それに」とリュウヤはつけたし、
「そもそもこっから先は、たとえヒースクリフでも連れてかねえって」
「…………!?」
ふつうのことのようにリュウヤは言うが、アスナは驚嘆を禁じえなかった。
この世界において最強と名高いかの《聖騎士》すら及ぶに値しないとは、いったい……。
リュウヤの言葉に、アスナは納得するどころか疑問ばかりが増えていく。
「だから、お嬢ちゃんはおとなしくお家に帰ってな」
リュウヤはプラプラと手を払う。
邪険にされている、というわけではない。むしろアスナの身体を慮ってのことなのだろう。
しかし、しかし。
それでもアスナはこの場から引こうと思わなかった。思えなかった。
なぜだかは分からない。使命感という言葉だけで片付けるには余りにも大きすぎる感情は、今の
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