第十八話 ミッション開始
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走って走って、走りきった先にようやく見えた、フィールドにおける《安全地帯》。
モンスターの侵入を拒むプレイヤーの休憩地へ着いた二人は、見つけた途端、飛び込むように逃げこんだ。
「はっ、はっ、はっ…………ここなら、もう、大丈夫だ……」
息を切らせながら、リュウヤは大の字になって寝転がった。「疲れたぁぁぁ」と言う彼はしかし、頬にえくぼを作っていた。
「…………なにがおかしいんですか?」
アスナは息を整わせてから、呆れ半分で問いかけた。
しかしリュウヤはそれに笑みをよこすだけで言及せず、「よっと」と言いながら身体をおこした。
「さ〜てと、結局ここまで連れてきちまったけど、どうすっかなぁ……」
頭をポリポリと掻きながら苦い顔をするリュウヤに、アスナは今度こそ100パーセントの疑問で首を傾げた。
そんなアスナをよそに、リュウヤは苦い顔を収めてシステム窓を開き、操作しはじめた。
するとリュウヤの手の上に首飾り(アミュレット)が出現した。その銀色に輝く装飾に見とれていると、リュウヤがそれをこちらに放り投げた。
慌てて受け取り、アスナは非難の視線を送ったが、リュウヤは意に介すことはなかった。
「それ持って、こっから先を10分くらいで走り抜けろ。そうすっとこの森抜けられっから」
かわりに飛んできたのは唐突な退去命令。
平坦な口調なれど、アスナの意思は要らないと言われているように聞こえた。
「話、聞いてやるって言っといてなんだが……すまんな」
片目を閉じ手刀を切って謝るリュウヤは快活な笑みを浮かべているが、言外に「さっさと帰ってくれ」と告げていた。
が、無論のこと、それに素直に対応するアスナでもなく。
「イヤです。あなたが帰らないならわたしも帰りません。さっきも言いましたが、なんのためにここに来たと思ってるんですか」
その意思表示として受け取ったーーー正確には投げ渡されたーーー首飾り(アミュレット)を突き出す。
「だから知らねえって……。もういいじゃん、な?諦めって肝心だよ?」
「諦めるようなことではないので、帰りません」
「強情か、お前は……」
「わたしは務めを果たそうとしているだけです」
アスナのダメ押しの一言で、リュウヤは思わず我慢していたため息をついてしまう。
空を仰ぎ、額を抑えるリュウヤ。アスナの意思が固いのは、逸らさない目線を見るだけで分かる。
頑固にも程がある、と内心で悪態をつくリュウヤは、しかしここで折れるわけにも行かない。
「お前が頑固なのはよぉ〜くわかった。ならーーー」
視線を空からアスナへ。
特に気張ることもなく。
一拍を置いてーーー言う。
「お前、『死ぬ覚悟』
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