第十七話 ぐだぐた逃走劇
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ナは、恐る恐るといったようにリュウヤに正解を求めた。
「まさか、このフィールドにいる全《インビジブルウルフ》が襲ってくるってこと……?」
「そゆこと。しかも何十匹っていう規模でな。だからハンパな知識でここに入ったヤツはーーーま、言わなくてもわかんだろ」
リュウヤはそっと目を伏せる。
彼らに遭遇した場合、生存できる可能性は他のフィールドよりも、群を抜いて低いということだ。
「じゃあさっきわたしを抱えて逃げたのは……」
「もちろん《インビジブルウルフ》から逃げるためだ。次からは自分で走ってくれよ?重いんだから」
一言余計に付け足したリュウヤに、アスナが顔を真っ赤にして怒鳴り立てた。
「だ、誰が重いのよ!」
「お前だ、お前。俺のステータス敏捷よりだからお前抱えて走るのキツイんだよ」
「そ、そうだとしてもデリカシーってものを考えてよ!」
「はぁ?よく考えろアホ。筋力ないやつに金属装備してる人間ひとりが軽いと思えるかっ」
「それでも女の子に対してその言いようはないでしょう!?」
「そういう扱いはキリトに言ってこい!俺に言うんじゃねえ!」
互いにヒートアップしすぎて、ヴゥ〜、と二人して犬のようにいがみ合っていたが、リュウヤが疲れと呆れが混じったため息をはくと同時にそれは終わった。
「いかんいかん……こんなことしてる場合じゃねえんだよなぁ……。おいお嬢ちゃん。お前さんついてくんのか?」
聞いてはいるものの、彼にアスナを連れて行く気がさらさらないのは態度と口調で丸わかりだ。
そんなぶっきらぼうに、「ジャマだから帰れ」と言わんばかりの表情を見せられると、反発したくなる。
「行きます。当然です。なんのためにここにいると思ってるんですか」
「知らねえよ……」とぼやいた後、リュウヤは思案顔で数秒押し黙ってしまう。
なにを考えているのか知らないが、なんにせよアスナは彼について行こうと決意している。なにせ彼の行動は一々不明な点が多すぎるのだ。その謎を解きたいと思っている。それにーーー
「…………くそっ、ヤベェな。嬢ちゃん、とりあえずこっから移動するぞ」
気づけば、思案顔だったリュウヤの表情が焦りの色へと変化していた。舌打ちも混じっているものだから、彼の焦りがありありと出ていた。
「提案」ではなく「命令」。それにたいしてアスナが怒ることはない。彼が提案をしている余裕がないのは分かっているからだ。
ついでに言えば、このフィールドにおいてアスナは無知が過ぎる。自分が前に立つより彼が前に立った方がよほど建設的だ。
従ってアスナが立ち上がると、リュウヤはニヤリと笑い、
「今度は走れるかい?」
「は、走れるわよ!」
リュウヤの状況にそぐわないジョー
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