第十七話 ぐだぐた逃走劇
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カ野郎……!?静かにしやがれ……!」
リュウヤと違い声を荒げようとしたアスナ。
しかしその途中でリュウヤにムリヤリ口を塞がれ、ひそひそ声で怒られる。
「説明はしてやるから、少し待ってくれ……!」
後生の頼みだとでも言わんばかりの表情に、アスナの中で膨れ上がっている懐疑の感情が抑えられていく。
アスナはむすっとしながらもリュウヤの要求を受け入れた。
得た時間でリュウヤは数回ほど深呼吸を繰り返し、息が整い始めるとアスナの詰問が始まる前に説明を始めた。
「いいか、よく聞け。さっきも言ったがここのフィールドのモンスターは、夜限定だが大抵ハイディングスキルを持ってるヤツが出てくる。俺みたいに索敵スキルがないと正直キツイ。それは分かるな?」
「う、うん……」
「そんで、ここにいるモンスターの中でも一番交戦しちゃいけないモンスターがいるんだ。《インビジブルウルフ》って言うんだが、もちろん聞いたことはあるだろ?」
「確かこの層の迷宮区で一番危険視されてたモンスターよね。奇襲攻撃に遭ったら生きて帰れる保証はないって言われてた」
「そうそれそれ。対策として最低五人パーティーを組むか、索敵スキルを取っておけって言われてたヤツな」
「でもそれがどうしたの?あの狼って、奇襲攻撃さえなければあまり強くないわよね?」
実際、《インビジブルウルフ》は普通に遭遇した場合、三〜四匹の群れで襲いかかってくるのがせいぜい厄介なだけで、相手の動きをよく読めばソロでも倒せる比較的弱いモンスターだ。
だが、ここでは勝手が違うことをリュウヤは知っている。
「ところがどっこい、ここじゃその情報は逆に仇となると言える」
「……?どういうこと?」
「この森にはな、《インビジブルウルフ》たちがわんさかいるんだよ。ヤツらのナワバリとも言っていい。
さて、こっからが本題だ。例えばアスナ、仲間が襲われてたらお前ならどうする?」
本題といいながら関係のない質問をするリュウヤに内心で首を傾げつつ、アスナは素直に答えた。
「もちろん助けに行くわよ。放っておけないもの」
その答えに、我が意を得たりとリュウヤは口角をつりあげた。
「ここじゃ、その考えがあいつら《インビジブルウルフ》にもインプットされてんだよ」
「………つまりどういうこと?」
「だから、たとえ一匹でも敵に襲われてたら、全員が援軍に駆けつけるんだよ。その意味、お前がわからないわけがあるまい?」
聞かされた彼らの、特殊にして普遍の習性。迷宮区には無かったこのフィールド特有のそれは攻略組のトップに位置づけされるアスナでさえ身体が微かにぶるりと震えた。若干顔も青ざめているように見受けられるほどだ。
衝撃と共に答えにたどり着いたアス
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