第十七話 ぐだぐた逃走劇
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が吹き出し、今に至る。
しかし、ついには笑い転げそうなほど豪快に笑い続けるリュウヤを見続けていると、さすがに弱った心も熱を帯び始める。
「リュウヤさん、モノには限度ってありますよね……?」
「はっはっはっ……あん?なにをーーーちょ、やめ、危なっ、ここ圏外だから!死んじゃうから!だからそのレイピアこっちに向けないでぇ!?」
「どうせ躱せるんでしょう……?少しわたしのストレス発散につきあってください」
「やめてやめて!いつの話してんだ、もう躱せねえよ!ビルドってもんを考えてください!ほんと勘弁して!?」
「安心してください。もしダメージが入ってわたしがオレンジになっても、あなたの名前を出せば正当防衛と見なされますから」
「なんの安心にも繋がらないよ!?さすが俺、嫌な名前の売れ方してんなチクショオッ!」
「ですので、どうぞ安らかにお眠りください」
「お前さっきから言ってることおかしいからね!?」
リュウヤがギャアギャア喚いているのも気にせずアスナはゆったりとレイピアを構え、剣尖をリュウヤの身体に突きたてようとした瞬間。
「ーーーちょいと失礼っ!」
いっそのこと無様と言えるほど慌てふためいていたリュウヤが突如、アスナのふところに入り込んだ。
アスナが声を上げるか否かの時間にダメージが出ない力の入れ具合でアスナの足を払う。
後ろに体勢を崩したアスナを、リュウヤは両腕で固定、抱き上げた。
「な、なっーーー何してるの!?」
一秒にも満たない時間に恥ずかしい格好をさせられたアスナは赤面しながらリュウヤを問い詰める。
しかしリュウヤはそれに構っているヒマはないと言わんばかりに無言で走り出した。
「どこ行く気!?降ろして!降ろしてよ!」
「王子様じゃなくて不満だろうが、我慢してくれ!」
「そういうことじゃない〜っ!」
「耳元で叫ぶなウルセェ!口閉じてろ、舌噛んでも知らねえぞ!」
「は……はい?ーーーキャアッ!?」
なんの話だと首を傾げた直後、リュウヤが持てる能力値をフルに使って地を蹴り加速した。
アスナは急な加速に耐えるためほとんど無意識的にリュウヤにしがみつく。
ワケが分からないアスナは説明を欲しがるが、事細かにそれができる余力などリュウヤにはなかった。
必死の形相で木々を縫いわけ駆け抜けていくリュウヤは、手頃な物陰を見つけてなんのためらいもなくそこへつっこんだ。
抱きかかえた時とは違って、丁寧にアスナを降ろしたリュウヤは両手を地について息を荒げた。仮想世界のためもちろん肉体の体力に限界はないが、精神的な体力がリュウヤを追い詰めていた。
「い、いきなりなんだったのよ!ちゃんと説明ーーーむぐっ!?」
「ば、バ
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