暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン42 鉄砲水と魔性の甘味
[11/11]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
最後のダイレクトアタック、螺旋怪談!」

 ワイトキング 攻2000→清明(直接攻撃)
 清明 LP1900→0





「今日は勝てると思ったんだけどなー。やっぱ夢想は強いや」

 できる限り明るく、空元気を全開にする。いや、実際問題3ターン目の手札を見た時点でこれは間違いなく勝てると踏んだだけに逆転を喰らったショックも悔しさもひとしおだ。
 だが当の本人はいつも通り、自分の勝利を誇ることもなくこちらに近づいてくる。

「清明とデュエルしたのも、ずいぶん久しぶりだね。でも、その時よりずっと強くなってたよ、ってさ」
「そりゃどうも。最近は負け星ばっかりだけどね」
「私が保証してあげる。清明はこの1年で、去年よりずっと強いデュエリストになったよ、って」

 夢想は、少なくともこういった類の嘘やおべんちゃらが言えるタイプじゃない……はず。少なくとも僕の知る限り、その手のことを口にしたためしはない。そんな彼女の言葉は素直に嬉しかったが、だからといってすぐに気が晴れるわけでもない。並のデュエルならまだしも、さっきのは絶対に勝てるとまで思ったからなあ。
 まだ浮かない僕の顔を見て、夢想がなぜか手を伸ばせば届きそうなぐらいまで近寄ってきた。そのままびしっと僕に指を突きつけ、少しすねたような調子で続ける。

「もう。私が清明の強さならいくらでも保証してあげる、って言ってるでしょう?最近ずっと行き詰って悩んでたみたいだけど、清明ならきっとさらに上の段階までたどり着けるから、って。自分だけで考え込んでないで、もっと周りを見渡してね、だってさ」
「夢想……」

 そこで急に彼女の顔が赤らんだように見えたのは、単に沈みつつある夕日のいたずらだったのだろうか。ともかく自身の制服から、小さな小箱を取り出して僕に差し出した。え、これってまさか、いわゆるカカオとか砂糖とかを足したそういう感じのアレだったり。

「はい、これ。遅れてごめんね、なんだって。ハッピーバレンタイン、清明」
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ